昔市場があった

「日本で唯一「横丁」や駅名に。”あおよこ”の俗称で親しまれている駅名の由来」『なぎさ』(京浜急行電鉄)636、p.9、2022


日本で唯一駅名に「横丁」という言葉が入っている京急の「青物横丁駅」。


「青物横丁」は、江戸時代にこの地に野菜や山菜(青物)の市場があったことからついた地名で、その名がそのまま駅名になった。最初、大森、蒲田は漁業で栄えたが「半農半漁」の街でもあったのだ。当時は収穫した野菜を大八車などで専門の市場に運び、東海道から池上道に入った横丁にあった市場が自然と青物”横丁”と呼ばれるようになった。品川宿近辺では「品川ネギ」「品川カブ」「大井ニンジン」といったご当地野菜が作られていたという記録も残っている。宿場や漁業のイメージが強いが、農業もまた街を支える大きな産業だったというわけだ。