『読売』の記事;
堂本暁子さん*2 の名前を見るのもかなり久しぶりな感じがする。
「南総里見八犬伝」の時代行列、鳥取で行う由来
江戸時代の伝奇小説「南総里見八犬伝」*1のモデルとされる安房国(千葉県)の館山領主・里見忠義が臨終した鳥取県倉吉市で1日、「第28回倉吉せきがね里見まつり」が行われ、法要や時代行列で里見氏とその家臣をしのんだ。
里見家は房総半島を拠点に勢力を広げたが、忠義は幕府内の権力争いに巻き込まれて倉吉に転封され、失意のうちに29歳で亡くなった。8人の家臣は殉死したと伝わる。時代行列は2007年から始まり、手作りのよろいやかぶとに身を包んだ市民らが参加している。
この日は、菩提(ぼだい)寺である同市東町の大岳院で法要が行われた後、忠義役の女優・由愛(ゆめ)典子さんを先頭に、「仁」「義」「礼」など八つの霊玉を手にした家臣役が出発。最期の地とされる同市関金町などを練り歩いた。途中、行列を阻止しようとする怨霊が登場して霊玉で追い払う演出もあり、観光客らを楽しませた。
まつりには堂本暁子・前千葉県知事も駆けつけ、「まるで400年前にタイムスリップしたかのよう。遠く離れた地で里見氏の伝統を守ってくれた倉吉の方々に感謝したい」と話した。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130902-OYT1T00269.htm
この場合重要なのは、「里見忠義」*3というより「殉死」したという「8人の家臣」の方だろう。また「八賢士」という言葉も呈示しなければならないだろう。「八賢士」→「八犬士」というケン繋がり。
鳥取県中部総合事務所地域振興局中部振興課の説明;
江戸時代に滝沢馬琴によって書かれた「南総里見八犬伝」は、安房国里見家の危機を救うために名前に「犬」の文字を持つ若者(八犬士)が活躍する、「勧善懲悪」「因果応報」をテーマとする小説です。この小説は、28年もの長きにわたって書き続けられた一大長編小説で、当時ベストセラーとなって江戸だけでなく全国で読み継がれたと言われています。
実は、倉吉で人生を閉じた里見忠義(さとみただよし)と、忠義に最後まで仕え、主人の後を追い殉死した8人の家臣達が「南総里見八犬伝」のモデルといわれています。
ただし、南総里見八犬伝はフィクションであり、里見忠義に関する史実の歪曲や創作を行っています。
http://www.pref.tottori.lg.jp/173314.htm
ということなのだが、果たして「八賢士」が「八犬士」のモデルだったのだろうか。曲亭馬琴は『八犬伝』創作に当たって「八賢士」伝説を参照したのだろうか。高田衛『八犬伝の世界』に、この「八賢士」→「八犬士」についての言及があったかどうかは記憶がない。
里見忠義の死後、殉死した家臣8人。家臣たち8人の法名に忠義の法名にある「賢」の文字がついていたことから、八賢士と呼ばれるようになったと言われています。ただし、8人が誰であったのか史料から確認できていません。
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そもそも馬琴は「八賢士」伝説を知っていたのかどうか。馬琴は旅をしなかった人で、且つブッキッシュな人だったので、知っていたとすれば、文献からだろう。ではその文献は? さらに、『八犬伝』が有名になってから、あらためて「八犬士」と「八賢士」が結び付けられたということはないのか。この場合、矢印は逆になって、「八犬士」→「八賢士」になるけれど。
今では、倉吉が「里見忠義」の最後の地として知られていますが、以前は全く知られていませんでした。
里見忠義の最後に居を構えていた場所、鳥取県倉吉市関金町には昔から安房守(あわのかみ)様や五輪塔群など里見家に関するものが祀られていました。地区の住民の方々が里見家をごく自然に受け入れられたのでしょうか。
http://www.pref.tottori.lg.jp/173314.htm
まあ識者のご教示を俟ちたい。
里見忠義を巡って、そのほかに、
「南総里見八犬伝と鳥取県」http://tottori.rojo.jp/arikomati/satomi.html
「家康と外様大名・里見氏」http://homepage1.nifty.com/togane-onarikaido/satomi.html
また『八犬伝』を巡る
「南総里見氏と八犬伝」http://www.uzushio.net/wakaran/satomi.htm
は味のある文体。
*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061012/1160664502 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080318/1205811317 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110818/1313686170 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110901/1314885441
*2:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081203/1228320279 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090330/1238340938
*3:See eg. http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8C%E8%A6%8B%E5%BF%A0%E7%BE%A9 http://www.city.tateyama.chiba.jp/satomi/kanzenban/kan_6shou/k6shou_1/k6shou_1min.html