原田芳雄さん逝く

『毎日』の記事;


訃報:原田芳雄さん71歳=俳優


 映画「竜馬暗殺」「ツィゴイネルワイゼン」など個性的な演技で知られた俳優の原田芳雄(はらだ・よしお)さんが19日午前、東京都内の病院で死去した。71歳。腸閉塞と誤えん性肺炎を併発し、闘病中だった。

 東京都出身。68年にテレビ時代劇「十一番目の志士」と映画「復讐の歌が聞える」に出演。映画「反逆のメロディー」などでエネルギッシュなアウトローの役柄で人気を集めた。

 その後も黒木和雄監督の「竜馬暗殺」「祭りの準備」「浪人街」「父と暮せば」や、鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」などの演技が評価された。「歩いても 歩いても」では、年齢を重ねた味わいを表現。08年に早期大腸がんの手術を受けた後も、俳優活動を続けた。

 公開中の映画「大鹿村騒動記」(阪本順治監督)には、長野県の村歌舞伎を自らテーマに選んで主演した。11日には遺作となった主演映画「大鹿村騒動記」の試写会に、病気をおして車椅子で出席。声が出にくいため、共演の石橋蓮司さんがメッセージを代読した。http://mainichi.jp/enta/art/news/20110719k0000e040081000c.html

特に21世紀に入ってからというか60を超えてからはかなりのペースで仕事をしていたようだ。70年代の作品だと、何といっても上の記事でも言及されている『竜馬暗殺*1と『祭りの準備』。どちらも監督は黒木和雄*2だけれど、それは偶然。因みに、Wikipediaでは無視されているけれど、藤田敏八の『八月の濡れた砂』にもちょこっと出ている筈。「「歩いても 歩いても」では、年齢を重ねた味わいを表現」とあるけれど、『歩いても歩いても』*3の原田さんを観たときは「年齢を重ねた味わい」というようなお上品な言葉では言い表せない衝撃を感じたということもある。「原田芳雄は70年代の映画で似たようなタイプの役が続いていたが、三枚目的な役や、まじめ一方なのがおかしみを出すような役もやれる人だったんじゃないか」という意見あり*4。『歩いても歩いても』と略同時期に公開された岩松了の『たみおのしあわせ』では「三枚目的」な味を出していた。ただ、大竹しのぶとの関係も振り捨てて、息子(オダギリジョー)と一緒に息子の結婚式から脱走して、バスに乗って、他界らしき場所へ行ってしまうという結末は、リトロスペクティヴに意味深長な連想を喚起するけれど。(晩年における)「三枚目」としての原田さんといえば、何といってもドラマ『不毛地帯』の大門社長役でしょう。大門社長のあのキャラによってこの重苦しいドラマがどれほど救われていることか*5
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上記以外で、原田さん関係の作品で観たことがあるのを列挙していくと、『田園に死す*6、『君よ憤怒の河を渉れ*7、『柳生一族の陰謀』、『オレンジロード急行』、『ヒポクラテスたち』、『さらば箱舟』*8、『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』*9、『TOMORROW 明日』*10という感じだろうか。『天国の本屋〜恋火』にも出ていた! それから、『ヤンキー母校に帰る』における義家弘介*11の恩師役もマークしておこう。
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ところで、以前「音楽バトン」の「普段言わないけど実は好きなアーティストは?」という質問に「歌手としての原田芳雄」と答えていたのだった*12。ベストは「りんご追分」で、オリジナルの美空ひばりよりもよかったくらい。また、西岡恭蔵の「プカプカ」*13を歌っているのを聴いたことがあったのだが、これはアルバムには収録されていないみたい。原田さんの歌は故林美雄の『パックイン・ミュージック』でよくかかっていたのだった。