承前*1
「「私も、被ばくした」――蓮池透が語る、原発労働の実態(前編)」http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1106/07/news010.html
蓮池透さんが東京電力に勤務していて原発関係の仕事をしていたということは知っていたのだが、福島第一原発に勤めていたことがあるということは知らなかった。
先ず原発における下請け労働の実態についての証言を切り取っておく;
それから、通過儀礼? 民俗学的な証言;
もちろん原発の中で、いろんな労働者がいたことは知っている。下請けとして1次、2次、3次、4次……一体何次まであるのか分からないくらい、たくさんの人が原発で働き、彼らが被ばくしている事実を知っている。原発は定期的に検査を行うが、そのとき東芝や日立などと作業契約を結ぶ。しかし東芝や日立の人が契約書にサインするわけではなく、そこからいろんな会社に作業が流れていくのだ。東電の人間が原子炉内で作業することはなく、あくまで「管理員」という立場。どういう作業が行われているのかを、最終的にチェックしている。簡単に言えば自分たちがお願いした作業が、ちゃんとできているのかをチェックするのが主な仕事だ。
作業員名簿にはいろんな人たちの名前が掲載されている。しかしそれはリストがあるだけで、その人がどういう人なのか――ハッキリ言って分からない。街中で電柱の作業をしている人を見かけることがあるが、そこでも東電の人間が直接手をくだすことはない。電柱工事についても「管理員」という立場で、作業がちゃんとできているのかをチェックしているだけだ。
それから、
新入社員で原発に配属されると、先輩から「鍛えてやる」と言われた。そしてアラームメーターなどを持って、放射線量の高い場所に連れていかれるのだ。私は福島第1原発1号機にある廃棄物処理建屋というところに連れていかれた。配管をまたいだとたんに、アラームメーターから「ビーッ」という音が鳴った。このように新入社員は“みそぎ”のようなものを受けさされるわけだが、今振り返ってみると「随分無駄な被ばくをしたなあ」と感じている。
東京タワーで働いている人も電磁波の影響で「女の子しか生まれない」という都市伝説があることを以前聞いたことがある。電磁波や放射線と「女の子しか生まれない」を結びつける言説は何時頃つくられたのだろうか。
現場では放射線量をたくさんあびた人間は「女の子しか生まれない」という噂がある。私も子どもが3人いるが、全員女の子。もちろん噂話のレベルだが、このほかこんな実話がある。作業員は放射線の異常を知らせるアラームメーターが鳴ると仕事ができなくなる。なのでアラームメーターを外に置いて作業していた。昔は頻繁に、こうしたことが行われていた。
「「原発に未来? ない」――蓮池透が語る、原発労働の実態(後編)」 http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1106/08/news013.html
からは
私は福島第1原発事故が起きる前から「今後、日本の原発はどうなるんだろう?」と思っていた。今、青森県の六ヶ所村で再処理工場※(1)を動かそうとしている。その工場から出てくる「ガラス固化体」※(2)というゴミをどこに捨てるのか。このことは、まだ決まっていない。
青森県六ヶ所村に原発のゴミを貯蔵することはできるが、あくまで一時的なもの。政府は「最終処分場を建設できる自治体は手を挙げてほしい」と公募していて、これに市町村が手を挙げれば、それだけで1億円くらいが入ってくる。ただ今回の事故が起きる前に、手を挙げたところはなかった。事故が起きた今、「ウチの町に最終処分場を作ってください」という市町村は出てこないだろう。原発のゴミを捨てる場所がなければ、下流からどんどんふんづまりになっていって、使った燃料を出せない状況になってしまう。使った燃料を出せなくなれば、新しい燃料を入れることができなくなる。ということは“発電ができない”事態になってしまう。私の自論は「原発を増やしていくのはいいが、そのためには最終処分場をきちんと作ってからやってくれ」だ。しかしこれはもう無理だ。
さて、山口県の某大馬鹿者が蓮池さんについてのとんでもない与太を飛ばしていたことがあったのだが、ちゃんと否定的なコメントを加えることなしにそれを拙blogで引用してしまったということがあった*2。私にとっては大恥以外の何ものでもないのだが、ここで改めてお詫びをしたいと思う。