チャップリンはジプシー

Rob Fitzpatrick “Was Charlie Chaplin a Gypsy?” http://www.guardian.co.uk/film/2011/feb/17/charlie-chaplin-gypsy-heritage


瑞西チャップリン邸に保存されているJack Hillという人からチャップリンに宛てた1970年代の手紙によれば、チャップリンはジプシーの血を引いているという話。ただ、チャールズ・チャップリンがジプシーだというのははたして〈新事実〉といえるのだろうか。1944年に発表されたユダヤ文化の「隠された伝統」を開かす人物列伝というべきエッセイ、”The Jew as Pariah: A Hidden Tradition”で、アレントは最初チャップリンユダヤ人だと思ったらしく、チャップリンを採り上げているが(The Jewish Writings, p.286ff., 『パーリアとしてのユダヤ人』p.53ff.)、次のような註を付している;


Chaplin has recently declared that he is of Irish and Gypsy descent, but he has been selected for discussion because, even if not himself a Jew, he has epitomized in an artistic form a character born of the Jewish pariah mentality. (The Jewish Writings, p.297)
このようにチャップリンがジプシーの血を引くことは1940年代から知られていたことであり、彼自身もそれを隠していなかったのだ。上の記事で〈新事実〉といえるのは、チャップリンの出生地が今まで信じられてきたように南倫敦ではなく、バーミンガムに近いSmethwickの可能性が強いということか。
The Jewish Writings

The Jewish Writings

パーリアとしてのユダヤ人

パーリアとしてのユダヤ人