陸揚『地獄』

土曜日、颱風接近のために大粒の雨が降りまくる中、永嘉路のArt Labor*1での陸揚『地獄』のオープニングへ行く。
インヴィテーションのメイルには、14歳以下入場禁止とか、動物愛護協会会員の人は遠慮してくださいとか書いてあったので、正直言って、どきどきしていたのだった。或いは、もしかして、当局によって中止させられるとか。
実際どうだったか。陸揚の作品は、半分空想に属する〈残酷〉テクノロジー構想のパネル、その実践として生きている蛙に電流を流したインスタレーションのヴィデオ、様々な動物の解剖図からなっている。たしかに蛙に電流を流すヴィデオは、動物愛護協会の人が青筋を立てるかも知れない。勿論、テクノロジーが孕む〈残酷性〉を誇張することによる異化効果という倫理的意義があるということもできるだろう。また、特にシュールレアリスム以降において、アートと〈残酷〉機械の関係について1本の系譜を引くことが可能なんだろうとも思うけれど、ここでは云々している余裕はない。それはともかくとして、中国の若手のアーティストということだと、例えば嬰野賦*2と通底するものを感じてしまった。陸揚の作風が未来的でドライなのに対して、嬰野賦はノスタルジックでウェットであるが。陸揚に対する日本的なものの影響ということでは、彼女はオウム真理教に大いにインスパイアされているのではないかと思った。特に、電極付きのヘッド・ギアによる脳のコントロールというアイディアにおいて*3。また、〈残酷〉を緩和しているのかどうかわからないが、陸揚の作品には特有のユーモアがあることも指摘しておく。例えば、〈自動スカトロ・マシーン〉(永久機関!)とか*4
なお、Robin Peckham氏による”Tortuous Visions of Lu Yang: The Bioart in China”*5も読まれたい。