哲哉でも等でもなく

既に先月末ではあるが、『毎日』の記事;


<訃報>小室直樹さん77歳=評論家、「アメリカの逆襲」

毎日新聞 9月28日(火)13時22分配信


 政治学社会学など、幅広い学問領域をカバーした評論家の小室直樹(こむろ・なおき)さんが4日午前1時3分、心不全のため東京都内の病院で死去したと、東京工業大世界文明センターが28日に発表した。77歳。葬儀は近親者で済ませた。小室さんが特任教授を務めていた同センターは業績を記念したシンポジウムを後日開く。

 東京都生まれ。京都大で数学を学んだが、経済学に興味を持ち、大阪大大学院へ。フルブライト留学生として米マサチューセッツ工科大、ハーバード大などでも学んだ。帰国後は東京大大学院などで丸山真男川島武宜、篠原一、京極純一の各氏らの指導を受けながら、文化人類学法社会学、計量政治学などを研究した。

 大学院修了後は在野の研究者として活動し、自主ゼミを主宰。橋爪大三郎東工大教授、宮台真司首都大学東京教授らを指導した。1980年、ソ連崩壊を予測した著書「ソビエト帝国の崩壊」、続いて出した「アメリカの逆襲」がいずれもベストセラーになり、以後は評論家として活躍した。著書はほかに「危機の構造」「韓国の悲劇」「田中角栄の呪い」など多数。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100928-00000043-mai-soci

ここでは〈学者〉としての業績は言及されていないが、社会学者としては構造機能分析の体系的な紹介ということになるのだろうか。ということで、いちばん印象に残っているのは東大出版会の「社会学講座」の第1巻『理論社会学』に収録されたテクストなのだ。その中で、小室氏はマルクス主義は構造機能分析の最も原始的な形態だと述べていた。また、個人主義的な機能主義(社会人類学におけるマリノフスキー)を徹底的にdisっていた。小室氏のテクストを抜きにしても、この本は社会学史的な意味を有する。日本の理論社会学における構造機能分析の覇権の頂点を示していたからだ。
社会学講座 1 理論社会学

社会学講座 1 理論社会学