京葉高速鉄道も高い

『毎日』の記事;


鉄道運賃:「高い」沿線住民悲鳴 千葉・北総線埼玉高速鉄道、大阪・泉北高速鉄道

 「財布を落としても定期は落とすな」「電車に乗らず自転車で浮かす」−−。日々の生活の足なのに「運賃が高い」と、沿線住民から恨み節が漏れる鉄道がある。千葉県内のベッドタウンを走る北総線などの現状から、専門家は「運賃設定に消費者の視点が欠けている」とも指摘している。【藤田祐子】
 ◇並走私鉄の倍額も 利用低迷で悪循環に

 千葉ニュータウン(千葉県印西市など)と東京都心を結ぶ「北総線」(京成高砂−印旛日本医大、32・3キロ)。京成電鉄の子会社「北総鉄道」が運行し、割高な運賃が問題になってきた。例えば、並走する京成本線京成高砂京成船橋(12・4キロ)が250円なのに対し、ほぼ等距離の北総線京成高砂−新鎌ケ谷(12・7キロ)は2倍以上の570円。

 千葉ニュータウンに住む主婦(45)は、高3と中2の息子2人の定期代に月4万1300円を支出し、「学費より通学定期が高いなんて。子ども手当が出ても、定期代に消えます」と話す。県立船橋高1年の男子生徒は本来、北総線・白井駅から東武野田線船橋駅まで、2鉄道を乗り継いで通学するが、北総線区間約5キロは自転車で移動し定期代を節約している。北総線の2駅分が370円かかり、東武野田線の5駅分190円と比べ、割高感が強いという。

 北総鉄道によると、用地取得や鉄道敷設費に対し利用客が伸び悩み、単年度は黒字だが、債務超過状態という。そもそも千葉ニュータウンが当初の計画人口34万人(その後約15万人に下方修正)に対し、現状は約9万人で、北総線の利用低迷につながっている。

 今年7月には、京成電鉄の「成田空港線」(京成高砂−成田空港、51・4キロ)が開業予定。うち約32キロは北総線と重なり、実質的には北総線の延伸だ。「北総線の運賃値下げを実現する会」の吉田治男会長(62)は「延伸すれば、列車本数も利用客も増え、京成本線並みの運賃になるだろうと期待していた」と話す。

 しかし、7月からの北総線の運賃値下げは4・9%で、京成高砂千葉ニュータウン中央で現行760円が720円に下がる程度。その値下げも、千葉県や沿線自治体が計3億円を補助することで実現した。吉田会長は「わずか30〜40円の値下げで、高い運賃体系が固定化されるのは納得できない」と訴える。

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 埼玉県内を走る第三セクター埼玉高速鉄道」(赤羽岩淵浦和美園、14・6キロ)も、住民の不満が根強い。同県鳩ケ谷市の女性(36)は都心に出る際、最寄り駅を避け、離れたJRを利用するという。「埼玉高速鉄道と地下鉄を乗り継ぐと500円以上かかるが、JRなら200円程度で行ける」という。

 同鉄道は計画当時1日14万人の利用客を見込み、01年に開業したが、08年度の実績は同8万3800人。三セク会社の有利子負債は1455億円(08年度末)に上る。県交通政策課は「混雑する京浜東北線東武伊勢崎線を避ける利用者を見込んだが、そうはならなかった。沿線人口は増えているが、値下げは今後も難しい」。

 大阪府南部の第三セクター泉北高速鉄道」は、起・終点の中(なか)百舌鳥(  もず  )−和泉中央(14・3キロ)で320円。共産党府議団が2月から、値下げを求める署名活動を始めている。

 鉄道運賃の問題に詳しい日本女子大の細川幸一准教授(消費者政策)は「北総線などは高運賃で客離れを招き、利用の伸び悩みが収支を悪化させるという悪循環に陥っている。ニュータウン開発の失敗で運賃が高止まりするのでは、政策失敗のツケを沿線住民に回していることになる」と指摘。鉄道会社の運賃申請を審議する国土交通省運輸審議会については「企業利益の追認でなく、消費者の権利を保障するという視点を持つべきだ」と話す。
http://mainichi.jp/life/housing/news/20100317ddm013100206000c.html

千葉県の鉄道だと、西船橋東西線に接続する京葉高速鉄道*1も高い。運賃は北総線並み。沿線に住んでいる人に訊いても、この線に乗るのは会社から定期代が支給されているサラリーマンであって、自腹でどうしても電車に乗らなければいけない人はできるだけ新京成や京成を利用しているということだった。それよりも、日常的な移動は自動車が中心ということになる。京葉高速鉄道にしても北総線にしても、あの国道16号線エリア*2に被っている。
細川幸一氏によれば、「高運賃で客離れを招き、利用の伸び悩みが収支を悪化させるという悪循環に陥っている」という。それはそうなのだが、新興の第三セクター系鉄道でも運賃が相対的に安い線もある。例えば、秋葉原発のつくばエクスプレスつくばエクスプレスとこれら高い鉄道との差異を分析すべきだろう。思いついたのだが、用地買収を行った時期は関係ないのか。京葉高速鉄道の用地買収はバブル期に行われた筈。高く買ったにも拘わらず、その後の資産価値は落ちている。バブルが崩壊した1990年代以降に用地を取得した鉄道は、それに比べればかなり安い初期投資で敷設ができた筈である。
ところで、「県立船橋高1年の男子生徒は本来、北総線・白井駅から東武野田線船橋駅まで、2鉄道を乗り継いで通学するが、北総線区間約5キロは自転車で移動し定期代を節約している」。県立船橋高校に行くには、普通船橋から総武線東船橋、または京成の船橋競馬場前まで乗り継いでいく。徒歩で東武野田線(JR)の船橋駅から県立船橋高校までは、私が実際に歩いた経験によれば、30分弱かかる。彼は船橋駅から歩いているのだろうか。まあ彼女と手を繋いで30分歩くのは楽しいかもしれないが、独りで歩くというのはけっこうつらいものがあるだろう。
新興の第三セクター系の鉄道には「高速鉄道」が多いようだ。新幹線並みのスピードで走らないかぎり、「高速鉄道」というのはちょっと誇大表示であるような気もする。