藤田まことも

『毎日』の記事;


訃報:藤田まことさん76歳=俳優「てなもんや」「必殺」

 テレビドラマ「必殺」シリーズの中村主水役をはじめ、テレビ、映画、歌謡と幅広く活躍した俳優の藤田まこと(ふじた・まこと、本名・原田眞=はらだ・まこと)さんが17日午前7時25分、大動脈からの出血のため大阪府吹田市内の病院で死去した。76歳。葬儀は近親者のみで営む。喪主は長男知樹(ともき)さん。

 東京都豊島区生まれ。父は無声映画時代のスター俳優、故藤間林太郎さん。歌手として芸能界入り。1962年、コメディードラマ「てなもんや三度笠(さんどがさ)」に主人公・あんかけの時次郎役で出演し、「俺(おれ)がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー」のギャグで草創期のテレビを席巻した。

 73年、「必殺」シリーズ第2作「必殺仕置人」に中村主水役で出演。09年までのシリーズ全31作中16作に出演し、代名詞ともいえるはまり役になった。

 「はぐれ刑事純情派」の安浦吉之助刑事役や、映画「明日への遺言」(08年)、舞台「その男ゾルバ」などで円熟した演技を見せた。
http://mainichi.jp/enta/art/news/20100218k0000e040068000c.html


藤田まことさん死去:逆境にも涙をのんで仕事人

2010年2月18日 13時9分 更新:2月18日 21時35分

 17日に76歳で亡くなった藤田まことさん。「てなもんや三度笠」のあんかけの時次郎役でブレークして以降、必殺シリーズ中村主水、「はぐれ刑事」の安浦吉之助と、テレビ史に独自のキャラクターを刻んできたまさに「仕事人」。数十億円ともいわれる巨額負債や大病も持ち前のねばり強さではね返してきた。戦争経験者らしく、反戦への思いも人一倍強かった。

 06年に出演したテレビ番組では「コメディアンでした」と自らを称した藤田さん。その持ち味は「てなもんや三度笠」で開花。定番の「あたり前田のクラッカー」は、番組を知らない世代でも耳に覚えがある名コピーだ。

 一方、強烈なイメージのため、それ以降は役が付かない不遇に見舞われた。中村主水のオファーを受けたのは週末営業のキャバレーで。「嫁としゅうとめにいびられる情けない男の役。みんな断ったから私に来たんです」と語っていた。支えは、1年ほどたった時の京都撮影所での故三隅研次監督の一言。「この役、ちゃんとやったら一生もんになるで」。シリアスとコミカルを演じ分け、自らの代名詞として完成させた。

 80年代には親族の事業失敗が原因で数十億円の負債を負った。役者生活最大とも言えるピンチだったが自宅を売却。休日返上で愚痴を言わずに働く姿に、債権者までもが仕事を回し応援したという。

 また、沖縄で戦死した兄の手紙を常に持ち歩くなど反戦への思いも抱き続けていた。戦後60年以上を経てようやく行けたという沖縄で、白米のおにぎりを海に投げ入れたという。その思いを役者として結実させたのが、死刑になるB級戦犯を演じた「明日への遺言」(小泉堯史監督)だった。

 08年、食道がんで療養後、ドラマで復帰した役は中村主水だった。復帰会見で「神様が差配してくれた」と涙をにじませていた。

 いったんは元気になった藤田さんだが、09年11月に再び体調不良で入院。10年1月15日に時代劇専門チャンネル(CS放送)の特別番組のナレーションで仕事に復帰したばかりだった。

 京都市右京区の松竹京都撮影所で「必殺シリーズ」が撮影された際、主役・中村主水の家の食事を作っていた近くの食堂「つたや」。先代のおかみ、山本和子さん(80)は「シリーズ初期のころ、共演者や監督らと毎日のように来ては、飲んだり歌ったりしていた。好物のきつねうどんを撮影所に出前した時も優しく接してくれた。残念です」と語った。
http://mainichi.jp/select/today/news/20100218k0000e040078000c.html

何故だか知らないが、最近拙blogで訃報をメモすることが多くなっているような気がする。季節と関係あるのか。
てなもんや三度笠』は1962年放送開始だというが、何時頃までやっていたのか。「当たり前田のクラッカー」はちゃんとTVで聴いているのだ。とはいっても、財津一郎白木みのるの印象の方が強く残っているだが。また、調べると、NHK大河ドラマの『天と地と』や『新平家物語』にも出ていたということなのだが、こちらの方は全然記憶がない。
また、以前「既に『必殺仕掛人』に中村主水が脇役として登場していたという記憶がある」と書いたことがあるのだが*1、少なくとも藤田まことが(緒形拳主演の)『必殺仕掛人』に出たことはないようだ。とすると、全てが私の記憶違いなのか、それとも「中村主水」は出たものの、別の役者が演じていたということか。
21世紀に入ってからだと、『大奥 第一章』で徳川家康役を演じており、それについて、

藤田まこと徳川家康を演じているのだが、藤田まことというと、どうしても中村主水を想い出してしまい、しがない同心とのギャップが気になってしまう。ところで、このドラマでは家康は名古屋弁を喋っているのだが、これは演出の目玉なのだろうか。家康は幼少時に織田家に人質として滞在したことがあるとはいえ、生まれ育ちは尾張ではなく三河の筈なのだが、尾張の言葉と三河の言葉にどれくらいの差異があるのかはわからぬ。ただ、私のような関東人の耳には〈名古屋弁〉に聞こえた。もしかして、愛知県では家康の言葉を巡って論争が起こっていたりして。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070103/1167843999
と書いたことがある。
大奥 第一章 DVD-BOX

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藤田まこと出演の作品でいちばん最後に視たのは、ドラマ『役者魂』。君塚良一脚本のこのドラマは、筋立てがシェークスピア作品のパロディをなしていて、けっこう楽しかったのだが、日本での評価はわからぬ。
役者魂! DVD-BOX

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