許倬雲の序文

先日より王明珂『游牧者的抉択 面対漢帝国的北亜游牧部族』(廣西師範大学出版社)*1を読み始めている。
この本には許倬雲が「序」を寄せている。許倬雲は1930年に江蘇省無錫で生まれた台湾の歴史学者*2。また、歌手/俳優の王力宏の大叔父(父方の祖母の弟)でもある*3。また、blog(簡体字)も書いているのだが*4、それによると、米国ピッツバーグ大学で作家の王小波*5を教えたことがあるという*6
『游牧者的抉択』の序文に戻る。許氏は先ずこの本の論旨を「陳述草原與高山両種游牧文化、列挙中国地区北方與西方不同的地形地勢及其生態条件、決定了両種迥然不同的放牧経済與由此衍生的社会形態」と要約している(p.1)。
幾つか、許氏の文章を書き写しておく。
先ず、北方遊牧民について;


中国北方草原的族群、歴史上即與其南辺的中国農民、有過長期的衝突與融合。一次又一次、北族組織了強大的草原聯盟、挑戦南方的大帝国、而且還多次征服了中国的一部分、甚至両度君臨中国。在這一類的闘争過程中、北族人口少、掌握的資源也不多、却不僅使中国疲於奔命、更能撃敗廣土衆民的中国。在人類歴史上、除中国的個案外、波斯帝国與印度也遭遇草原族群的衝撃、情形併不完全相同、欧亜大陸的印欧語民族、一波又一波、侵入印度與欧洲各処、殖民建国、終於改変了這個地区的人種成分、也在欧洲発展了高加索*7族群的文化。(pp.1-2)
また、西部の高山地帯の遊牧民について;

東漢的羌人、長久以来、只有地方豪強、没有大部落*8、更別談国家形態的組織了、唐代吐蕃崛起、成為当時列強之一、其資源大部取於山下的青海大草原及天山南路的緑洲城市;吐蕃人力不足、還須掠取中国百姓駆褰入蕃。吐蕃維持帝国的力量有限;所以沙洲漢人地方勢力張曹諸族可在河西割拠、吐蕃不能不容忍其存在。(p.3)