「参加希望」併用?

承前*1

『読売』の記事;


国学力テスト、抽出調査に「希望参加」併用

10月14日8時45分配信 読売新聞
 全国の小学6年と中学3年の230万人余りを対象に実施している全国学力テストについて、文部科学省は13日、これまでの全員調査から抽出調査に切り替えた上で、希望する市区町村の参加を認める「希望参加方式」を併用する方針を固めた。

 実施費用を大幅圧縮する一方、全員調査を望む学校現場などに配慮した。文科省は今月15日が提出期限の概算要求にこの案を盛り込み、来年4月20日実施予定の第4回テストから適用する。

 全国学力テストについては、民主党が今年4月、行政の事業を精査する「事業仕分け」で抽出調査への切り替えを提案。川端文科相も就任当初から「方向としては抽出でいいのではないか」と述べていた。

 この方針を踏まえ、文科省の政務三役らは、抽出調査に切り替えた場合の問題点などを検討。テストに参加できなかった自治体では、各学校や個々の児童生徒の改善点が把握できなくなるとして、全員調査継続を求める声が根強い点など踏まえ、抽出調査の対象から漏れても自治体として希望すれば参加できることとした。

 抽出調査とすることにより、これまで58億円かかっていた実施費用のうち採点者の事前研修や採点作業など約20億円が削減できる。一方、希望参加の場合は、模範解答を元に学校ごとに自己採点を行うという。

 全国学力テストは1956年、抽出調査として始まり、全員参加となった後の66年、日本教職員組合日教組)の反対などで打ち切られた。その後、82年から抽出方式の「教育課程実施状況調査」が何度か実施され、2007年以降は現在の全員調査の形で行われていた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091013-00001183-yom-soci

「希望参加」の「市区町村」は費用自己負担ということでしょうか。
さて、『産経』のお馬鹿な記事;

国学力テスト 40年前にも日教組の反対で抽出に

10月14日22時41分配信 産経新聞
 小学6年、中学3年を対象にした全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)をめぐり、川端達夫文部科学相が来年度から「全員参加」を「抽出」に転換する方針を表明したことが波紋を広げている。同テストは約40年前にも日教組などの反対運動で全員から抽出に転換、その2年後にはテスト自体が中止になった経緯があるからだ。文科省関係者は「今回も同じ経過をたどるのでは」と懸念を示している。

 文科省によると、全国学力テストは昭和36〜39年度に中2、3の全員を対象に実施。しかし、日教組による激しい反対運動や一部生徒のボイコットなどが起き、当時の文部省は40年度から抽出に転換した。しかし、抽出化で意義が薄れたことも一因となり、翌41年度を最後にテスト自体が中止となった。

 文科省は近年、学習指導要領の定着を確認するため「教育課程実施状況調査」も抽出で行っており、今回の転換で再び学力テストの存在価値が問われることは必至だ。

 同省幹部は「平成19年に復活してからの3年で、自治体が客観的データに基づき学力向上に取り組む流れが出てきていた」と話す。実際、成績不振だった大阪府橋下徹知事のリーダーシップで教育改革に取り組み、今年度は小6の成績で成果を出した。

 中3で成績下位だった高知県でも、尾崎正直知事が「全国的に検証しうる客観的データを初めて入手できた」と表明、全員調査の継続を求めていた。

 全国学力テスト専門家会議座長の梶田叡一兵庫教育大学長は「全員では子供一人一人の学力や弱点についての情報が学校や本人にフィードバックされるが、抽出ではそれがない」と転換のマイナス面を指摘している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091014-00000627-san-soci

そもそも統計調査の意味をわかっていない。ここでコメントしている「文科省関係者」は降格或いは減給処分に値するのでは? 無能若しくは低学力ということで。
上の記事の梶田叡一のコメントを「専門家である方のコメントだとは思えない」と断ずるkaikai00氏が重要なことを指摘していると思われるので、クリップしておく;

はっきり言えば,全国学力テストで自分の位置を知ることができるとか,課題を知ることができるなどという主張は,単にランク付けされたり,正解か間違いか,それだけを見て自分の位置や課題を知ることができたと思いこんでいるだけだ。それは,悉皆調査のデメリットに目をつむってまで行う必要性の根拠にはならない。

 また,悉皆調査から抽出調査になると評価の意味が薄れるというような主張がある。しかし,そうした評価の機能は国の調査に持たせる必然性はなく,各自治体や学校,クラスにおいて行う調査にその機能を持たせればいい。

 しかし,今の地方の教育委員会http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20090921/1253476341で書いたけれど,地方の教育委員会ができることを考えたり,やっていこうという姿勢が欠如している。それは,全国学力テストに依存した地方の教育委員会不能化でしかない。
http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20091015/1255544632