呉智英が「暴走万葉仮名」という言葉を発明したことは知っていたが*1、「変読ネーム」という言葉を知る。
「ココログニュース」から;
米国の話なのだが、指標となっているのは名前のスペリングの読みにくさではなく、「知名度」。そもそも、その「知名度」というのもどのように測定したのかわからない。「Alec, Ernest, Garland, Ivan, Kareem, Luke, Malcolm, Preston, Tyrell, Walter」が(「知名度」の)「ワースト10」というけれど、ほんとうにそうなのか。Ernestといえばヘミングウェイだし、Lukeといえば福音書の作者として知られるし、Malcolmといえば倫敦パンクの仕掛け人マルコム・マクラレンもいるが、米国人にとってはMalcolm Xがいるではないか。ここから推測できるのは、名前と犯罪率の関係というよりも、米国における国民的共有知識の衰退なのでは?
読めない名前は犯罪率高い?
2009年7月18日(土)11時0分配信 ココログニュース
今も昔も、クラスにひとりはいたような「初見で正確に名前を読んでもらえない子」。だが、近頃はそれが顕著になっているような気もする。例えば、「宇宙汰(そらた)くん」や「純桃(すもも)ちゃん」など。読みづらさや痛々しさなどから、ネット上ではしばしば「叩き」の対象となるこれらの『変読ネーム』。最近米国で行われた研究で、そんな変読ネームに関する興味深い結果が見られた。
その研究では、米国内で見られる1万5千の名前について1〜100の知名度を設定。例えばマイケルという一般的な名前を100とした時、デイビッドは50、アーネストは1となるような方法だという。その結果、知名度が10%上がるにしたがって犯罪率が4%低下したとのこと。つまり、あまり一般的でない名前をつけられた子供ほど、犯罪にかかわる傾向がある、ということだ。ちなみにワースト10は以下の名前。Alec, Ernest, Garland, Ivan, Kareem, Luke, Malcolm, Preston, Tyrell, Walter。
しかし当然のことながら、一概に名前と犯罪率が関係あると言える訳ではなく、直接的な因果もない。この研究に対する賛否もあるだろう。この研究を行ったカリスト教授は、「例えば劣悪な家庭環境であったり、経済的不遇であったり、両親が離婚していることなど、あまり一般的でない名前の付け方と犯罪の要因となるような社会的環境には何らかのつながりがあるようだ」としている。
(小野しうこ)
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/cocolog-20090718-do-0907161615/1.htm
最初「読めない名前は犯罪率高い?」というタイトルを見て、民族差別の話かと思った。つまり、マイノリティであるスラヴ系や亜細亜系の名前の綴りは、平均以下の教養のWASPにとっては読みづらい。「読めない名前」は米国社会におけるマイナーな位置を反映しており、そのような人々は犯罪に手を染める確率が高くなる。そういうストーリーだと思ったのだが、そういう話でもないようだ。
スラヴ系の名前といえば、ポーランド語翻訳家の工藤幸雄氏(『ぼくの翻訳人生』)によれば、日本のメディアに出てくるスラヴ系の人名表記の殆どは間違いであるとのこと。
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