祟りとご利益

「開業当時の駅とまち 京成立石駅」『京成ライン』(京成電鉄)740、p.8、2022


京成立石駅」を巡って。


地名の名前の由来になった「立石様」(東京都指定史跡)は、駅から徒歩約10分の公園内にあります。この石は、古道の道標との説や古墳の石材の一部との説もあり、また「掘り出そうとして掘ってみても底にたどり着けない」、「石に触れると禍がある」との言い伝えもあり、信仰の対象ともなっています。江戸時代は地表から60センチぐらい露出していたそうですが、地盤沈下の影響や、お守りとして削り取られたことも影響しているのか、現在は地上数センチしか見ることができなくなっています。
京成電鉄では、駅の知名度向上とお客様誘致を兼ねて、下りホーム上に「立石様」を模した石と生垣、掲示板を設けておりました。現在事業中の葛飾区内連続立体交差事業の進捗に伴い、ホーム改修を行うにあたり、この石の処遇をどうするか検討しましたが、長年お客様に親しまれたものでもあり、神職によるお祓いを行って、上りホームに移設しました。
京成立石駅」というと、多くの人にとって、『キャプテン翼』が想起されるだろうけど、実は降りたことがなかったのだ。
「石に触れると禍がある」と言われる一方で、「お守りとして削り取られ」る。まさに〈聖なるもの〉の両義性そのものなのだけど、具体的にどういうご利益があるのだろうか? また、「お守り」のつもりで石の欠片を持ち帰ったものの、祟りを受けてしまったという人もいるのだろう。