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イッツ・オンリー・トーク (文春文庫)

イッツ・オンリー・トーク (文春文庫)

『朝日』の記事;


脚本家の荒井晴彦さんら、芥川賞作家の絲山秋子さん提訴

2009年7月14日18時42分


 脚本家の荒井晴彦さんとシナリオ作家協会柏原寛司会長)が14日、芥川賞作家の絲山(いとやま)秋子さんを相手取り、絲山さんの小説を原作にした映画脚本の書籍掲載を認めることと、1円ずつの損害賠償を求める訴えを、東京地裁に起こした。映画は「イッツ・オンリー・トーク」を原作にした「やわらかい生活」(寺島しのぶ主演)。05年に公開、07年にDVDになっている。

 荒井さんの脚本は、同協会発行の「’06年鑑代表シナリオ集」に収録予定だった。訴状によると、絲山さんが「活字として残したくない」と収録を拒否したため、同書にはタイトルのみが掲載された。

 訴状では、映画化もDVD化も認めながら脚本収録だけを拒否するのは、映画製作会社と原作の版元文芸春秋との契約にある「(2次利用について)一般的な社会慣行並びに商慣習等に反する許諾拒否は行わない」との条項に反するとしており、10年秋発行の「’09年鑑代表シナリオ集」への掲載を求めている。請求額については、金銭の問題ではないとして1円ずつとした。

 荒井さんは「自分の書いた脚本をどうして発表できないのか。理不尽さを感じる」、柏原さんは「これを放置すれば、最近の脚本家軽視の風潮を助長することになる」と話している。

 原作の「イッツ・オンリー・トーク」は絲山さんのデビュー作03年の文学界新人賞を受賞。絲山さんは「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。
http://www.asahi.com/national/update/0714/TKY200907140336.html

記事を読む限り、絲山さんのわがままというものだろう。たしかに、『やわらかい生活』は、豊川悦司が演じたヒロインの従兄弟の存在が拡大されて、他の登場人物が地に退くなど、かなり原作を改変している。にも拘わらず映画化を許してしまった以上、「活字として残したくない」というのはわがままといえるだろう。
まあ映画も悪くはなかったが、原作の(例えば)キング・クリムゾンといってもロバート・フリップではなくエイドリアン・ブリューを参照しているようなかろみが消えてしまっていることは事実だ。
原作「イッツ・オンリー・トーク」については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080614/1213418260も参照されたし。