承前*1
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-0916.htmlにて知る。
ZAKZAKの記事;
また、
幸福の科学「金田一少年」漫画家、女子アナら衆院選へ
「幸福実現党」決起大会宗教法人「幸福の科学」(東京、大川隆法総裁)が設立した政治団体「幸福実現党」が27日午後、都内のホテルで約1000人が参加して立党決起大会を開いた。
この中で、17人の衆院選第一次公認候補が発表されたが、麻生太郎首相の福岡8区には『金田一少年の事件簿』などで知られる女性漫画家、さとうふみや氏(43)が公認され、さながら漫画対決の様相に。
東京比例区では日テレの元ニュース番組キャスターだった田中順子氏(47)と、ロックバンド「ザ・ブルーハーツ」のベーシストだった音楽家、河口純之助氏(48)が公認された。
このほか、民主党の鳩山由紀夫代表の北海道9区や、与謝野馨財務・金融相の東京1区などについても公認候補が発表された。
ZAKZAK 2009/05/27
http://www.zakzak.co.jp/gei/200905/g2009052715_all.html
色々な記事を眺めた限りにおいては、普通の右派という感じ。
元ブルーハーツ河口純之助が幸福実現党から衆院選出馬2009年5月27日 20:40 52 8
幸福実現党は、景気回復による3%以上の経済成長、いじめ防止法の制定、憲法9条改正による防衛力の強化などを公約に掲げ、5月25日に結成。
宗教法人・幸福の科学を支持母体とする政治団体「幸福実現党」が、次期衆院選の第一次公認候補者を発表。元THE BLUE HEARTSのベーシスト・河口純之助が東京比例区公認候補として出馬することが明らかになった。河口は1985年から1995年のバンド解散時までTHE BLUE HEARTSのベーシストとして活躍。バンド在籍中に幸福の科学に入会し、解散後もミュージシャン、プロデューサーとして音楽活動を続けていた。
なお同党は小選挙区9人・比例代表8人、あわせて17人の候補者を擁立。「金田一少年の事件簿」などで知られるマンガ家のさとうふみやが福岡8区から出馬することも発表されている。
http://natalie.mu/news/show/id/16936
さて、「政教分離」を巡る川瀬さんの説明*2は全く正しいと思う。また、宗教と世俗社会との「折り合い」だが、これは政党を結成して選挙に出馬する以前に、宗教学的・社会学的問題として存在していることだろうと思う。そもそも宗教団体は社会の内部に存在しているので、その存立は世俗社会というか、それを取り巻く社会環境との交渉でもある。宗教が或る安定した仕方で社会の中に居場所を有するということは、何らかの「折り合い」がついたということなのだ。これは、例えば基督教が日本に定着するとすれば何らかのかたちで日本化するということだし、日本の佛教が米国に定着するとすれば何らかのかたちで米国化するということである*3。また、「折り合い」というのは教団信者の世代とも関係があるだろう。初代の信者は世俗社会や支配的な宗教風土に逆らって、自らその教団を選んだ。だから、外部との関係はぎすぎすしたものとなる。しかし、二代目以降の信者の場合は、自分が選んだのではなく、そもそもその教団の信者として生まれついたわけだ。極端な弾圧や差別を受けていない限り、自らのアイデンティティを守るために殊更外部に対してファイティング・ポーズを取る必要はない。
しかしながら、もっと宗教学的には重要な問題があるのだろう。それは、宗教的な世界観や聖典が世俗的なものである政治目標を達成するためのプログラムとして、或いは政治イデオロギーとして解されてしまうこと、さらにはそれらに還元されてしまうことである。Karen Armstrongのファンダメンタリズム論(例えばThe Battle for God)*4で議論の軸のひとつになっているのがmythosとlogosの摩替えや混同である*5。所謂ファンダメンタリズムの場合、スピリチュアルな覚醒や救済のための修行などの宗教的実践が政治(選挙)や戦争やテロへのコミットメントに摩替えられてしまう。また、ファンダメンタリズムでなくとも、宗教教団が政党を結成して政治へ参入することは、自らの宗教的世界観を、自由主義とか社会主義といった世俗的な政治イデオロギーと同レヴェルで対立させたり妥協させたりして、そうした世俗的諸イデオロギーの中の一つとして相対化されてしまうことを引き受けることに繋がる。当然これによって、宗教的伝統も世俗世界も深い傷を負ってしまうことになるだろう。
The Battle for God: A History of Fundamentalism (Ballantine Reader's Circle)
- 作者: Karen Armstrong
- 出版社/メーカー: Ballantine Books
- 発売日: 2001/01/30
- メディア: ペーパーバック
- クリック: 43回
- この商品を含むブログ (28件) を見る
*1:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090524/1243104117
*2:http://d.hatena.ne.jp/t-kawase/20090522/p2
*3:実際、日本的な寺檀制度は米国では採ることができないようだ。
*4:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081211/1229012325
*5:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080908/1220888586 但し、彼女のmythosとlogosの些か単純な二分法に完全に賛成であるわけではない。しかし、その違和はここでの議論には影響しない。
*6:See eg., http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060415/1145084259 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061101/1162378555 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061118/1163838464 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080115/1200402676