中越国境付近

承前*1

1月28日と29日、中国人向けツアーに参加して、中越国境付近に行ってきた。
朝7時30分集合で、南寧からバスに乗って、隆安県を通過し、大新県へ。途中休憩や昼食を挟んで、1時半頃に中越国境の「徳天瀑布」*2に着く。中国とヴェトナムの国境地帯を流れる「帰春河」の滝。徳天瀑布に着く直前、帰春河が見えてくると、川向こうはヴェトナムだと言われる。川の向こうに自転車やトラックが走っているのが見えるが、バスからではヴェトナム語のナンバー・プレートとかは確認できない。ようやく川の向こうにヴェトナムの国旗の翻っているのが見えて、やっと向こうはヴェトナムなんだと納得。さて、徳天瀑布だが、国境地帯の滝というのは、世界でここと、米国−カナダ国境のナイアガラの滝、伯剌西爾−アルヘンティナ国境のイグアスの滝ザンビアジンバブエ国境のヴィクトリアの滝しかないそうな。とはいっても、滝としての規模はイグアスやナイアガラには及ばないけれど。
竹の筏で滝の真下まで行くが、対岸のヴェトナム側の観光客の姿がはっきりと見えて、またヴェトナムの観光筏と水上で交差する。筏に乗ってみやげ物を売りつけに来る人がいるが、これが中国人なのかヴェトナム人なのかはわからず。



滝の上の方には中国とヴェトナムの国境を標す標識があり、ヴェトナム人商人が屋台を出して、みやげ物を売っている。ヴェトナムの煙草3種類、Hanoi、D’RAO、Tam Daoを買う(1箱5元)。ヴェトナムのみやげ物として売っているのは、煙草、お菓子、薬草、ヴィニールのサンダル、(何故か)シャネルなどのブランド物の香水で、どの屋台でも商品構成はほぼ同じ。というか、国境のこちら側の中国人商人の屋台でも同じ商品構成。国境とはいっても、(どちらの側の)警察も軍隊も見えず、こんな緊張感のない国境というのは初めてだ。
それから、またバスで同じ大新県の明仕村にある「明仕田園」*3へ。桂林風の大地のおできのような山々を眺めながら、竹の筏で明仕河を30分くらい下る。明仕河というのはこれが川かと思えるほど、傾斜がなく、つまり流れが遅い。宿泊は山一つでヴェトナムと接する碩龍鎮という町*4

翌日は先ず或る店に連れて行かれる。この店のオーナーの親戚が税関の幹部で、税関が没収した密輸物のブランド品を売っているのだという*5
さらに、靖西県の「古龍山」*6の南端「通霊大峡谷」*7へ。ここは徳天瀑布の真北に当たる。2時間ばかし、谷を下り、滝を眺め、滝の下を潜り、洞窟を歩き、尾根に出たら、日が照ってきた。南寧に帰着したのは5時前。

以前も書いたかも知れないが、20年前に1年近く廣西の南寧に住んでいた。その当時は、中越国境地帯の観光地の情報などは殆どなかった。というか、この頃は中越国境地帯には地雷が埋まっていて、軍事的な衝突も散発的にはあった。さらに、ここら辺は外国人立入禁止(所謂未開放地区)で、日本人バックパッカーが国境地帯に入り込んで逮捕されたとかも聞いた。
廣西もここら辺まで来ると、漢族は殆ど住んでおらず、『廣西壮族自治区地図冊』(中国地図出版社、第15次修訂版、2008)によると、大新県の人口の97%を壮族が占める。