承前*1
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20081211/p1にて知る。
『産経』の記事;
この記事のメインの話とは別筋だが、麻生氏が怪我をカイガと読んでいたことは知らなかった。
漢字に続き…麻生首相、今度は「歴史も知らない」疑惑12/11 10:34更新
「未曾有(みぞう)」を『みぞゆう』、「怪我(けが)」を『かいが』といった漢字の読み間違いで国民の失笑を買っている麻生太郎首相に、今度は「歴史も知らない」疑惑が浮上した。これで自民党文教族の幹部というのだから…。
先に配信された首相の動画マガジン「太郎ちゃんねる」の第10回で、首相は「1941年12月に第2次世界大戦が真珠湾攻撃で始まるんですけど、10年後に日米安全保障条約なんて想像した人は、たぶんあのとき1人もいない」と発言した。
しかし、教科書出版大手の山川出版社の用語集では世界史、日本史ともに「第2次世界大戦」は、1939年9月1日にナチスドイツがポーランドを侵攻したことに始まったとされている。別の小中学生向けの参考書でも同様で、首相の話は、大戦の一局面である「太平洋戦争」の解説になっている。
首相の祖父、吉田茂元首相は戦後日本の復興を軌道に乗せた大人物だが、首相は国語に続いて社会科でもボロを出してしまった。自民党内からは「揚げ足取りにも聞こえるが、簡略化しすぎて正確でないことは確かだ。官邸内にチェックするスタッフはいないのか」(中堅議員)とため息も聞こえてくる。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/203599
普通成熟した日本語の使用者なら、怪我という漢字からほぼ自動的にケガという音を呼び出し、打ち身捻挫擦り傷或いは骨折といったことをイメージするだろう。その場合、漢字の意味からすれば私を怪しむ(怪しい私?)なのに、何故・如何にしてこれが英語でinjuryと言われる事態に結びつくのかなんてことを深く考えようとはしない。ところで、麻生氏も日常的に例えば目の前の人がすっ転べば、オケガはありませんかと言う筈であり、お絵画はありませんかとは言わないだろう。麻生氏は、怪我という書記、kegaという音、打ち身捻挫擦り傷或いは骨折というイメージの連鎖が自明なものとして形成されなかったわけだ。だから、怪我という漢字を見て、何だこりゃ、俺を怪しむって何だ? と思ったのでは?
日常的な言語使用においては、字と発音の関係、またシニフィアンとシニフィエの関係は自明なもの、透明なものとされる。しかし、その自明性・自動性が破綻すること、これが文学的に貴重な瞬間であることは、わざわざローマン・ヤコブソンの詩的言語論を参照するまでもあるまい。そこにおいて、言葉は「ワンダー」(渡邊十絲子)と化すのだ*2。だから、麻生氏の言語について、文学関係者(小説家、批評家、研究者など)が読み間違えを以て安易に批判することは許されない。というか、もし批判するならば、麻生氏の方がお前らよりもずっと文学的であるということを自覚すべきだろう。あの「骨折」少女*3を文学理論も勉強していない教師が批判することが許されないように。
以上、怪我の功名(絵画の
ところで、麻生氏は物の怪をモノノカイと読むのか。