Whose side are you on?

図書館からのホームレス排除問題*1を巡って;


プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)において、ヴェーバーが解き明かしたことは、資本主義の精神の根底には労働自体を善とするような道徳観があるということだ。ホームレスとはつまり、労働をしないという意志の象徴的存在であって、概念としての非道徳、即ち悪なのである。そう定義づけないと、道徳的に労働に勤しむ人を正当化できない。非常に単純な包摂と排除の関係である。

そしてこのことは、フーコーが狂気の歴史―古典主義時代におけるにおいて描いた図式ともまったく等しい。ホームレスは現代の狂気であって、彼らが非難されるのは単に臭いからというだけでなく、道徳的規範に外れているからなのだ。これは社会が道徳的規範を維持するうえで必要なことだ。これが、ホームレスを排除して初めて世の中が成り立っていると言った意味だ。
http://d.hatena.ne.jp/chnpk/20080831/1220163097

ここに書いてあるようなことをウェーバーフーコーから読み取るということが完全なトンデモだということはない。勿論、極端な単純化がなされており、これが試験の答案だとしたら、Bを取ることはかなり難しいとは思う。ともかく、これは近代批判においては既に自明ともなっている事柄でもあり、私だって似たような論点を提出したことはある*2。それよりも問題は、この認識を、「ホームレス」を「図書館」どころか社会それ自体から全面的に排除することを正当化するために使用しているということだろう。
米国の某社会学者の言葉遣いを借りれば、


Whose side are you on?


ということが重要だということになる。