「這画非我所作」

「呉冠中親筆写下”這画非我所作”」『東方早報』2008年7月4日


7月1日午前、画家の呉冠中は「池塘」と題された絵に、その所有者である蘇敏羅の立会いの下、「這画非我所作」(この絵は私が書いたものではない)と書き込み、署名と日付を添えた。蘇敏羅は2005年12月11日に、北京瀚海拍売有限公司のオークションにて、台湾人の蕭富元が出品したこの絵を230万元で落札した。その半年後に、蘇敏羅がこの絵をオークションで売却しようとしたところ、瀚海拍売有限公司の李亜俐はこの絵の真贋の判断は難しく訴訟なども面倒になるので、呉冠中の死後に売りに出した方がいいといった。その数日後に、呉冠中作品の有名なコレクターである郭瑞騰がウェブ上に「池塘」は贋作であるという文章を発表した。蘇敏羅は北京瀚海拍売有限公司を相手取って、取引を取り消し、代金を返還するよう北京市第二中級人民法院に告訴している。また、政府(文化部文化市場司)もこの件に介入するとしている。
贋作とされる絵に、画家の親筆の書き込み。これによって、この作品の価値はどうなるのだろうか。

ところで、「落書き」*1と署名の関係についていえば、私は古本屋の100円均一のワゴンとかブックオフの105円の棚で著者サイン入りの本を買ったことはけっこうある*2。少なくとも古本屋からすれば、著者のサインというのは付加価値を産むものではなく、「落書き」と同じなのである。取次店にしても同様で、著者サイン入りの本は傷物と認定されて、書店が返本することはできないらしい。あくまでも一般論ではあろうが。

さて、中国では(愛国教育の推進ということもあって)今年から児童向きに国内の公的博物館の無料開放が開始されたが、実際は(教師に引率されているとはいっても)お子様たちの来襲は、博物館関係者にとっては大変であるようだ;


HOLLAND COTTER “China's Legacy: Let a Million Museums Bloom” http://www.nytimes.com/2008/07/04/arts/design/04museums.html