http://d.hatena.ne.jp/Wallerstein/20080111/1200048672で、『朝日新聞』に載ったという高橋昌明氏のコメントが紹介されている。紹介を読む限り、ポイントは2つあって、先ず武士/貴族(公家)の表象の問題、そして日本史のディスコースと西洋史のディスコースとの関係。封建制度というのは、一方では明治以来日本の近代主義者たちが目の敵にしてきたものであると同時に、他方では、封建制こそが近代化を準備したということで、日本を具体的には中国や朝鮮から、理論的にはマルクス的亜細亜から切り離すことを正当化してきたといえる。石母田正の「領主制理論」が言及されているが、そもそも歴史を古代/中世/近代に分割するということ自体が舶来の事柄であるとはいえる。

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と述べられている。
たとえば、松の廊下で「逆ギレ」して刃物を振り回した浅野内匠頭や、そんな主君への処罰を「逆恨み」して吉良邸でテロを働いた赤穂浪士たちが「善玉」で、最初から最後まで無抵抗・非暴力を貫いた吉良上野介が「悪玉」なのはなぜだろう。また、およそテレビの時代劇に登場する公家・貴族は、常に陰険で薄気味悪く、化け物のようなメイクアップをしているのはなぜか。源平合戦モノに登場する平家一門、「北条時宗」に登場した宗尊親王、「太平記」に登場した北条高時、戦国時代モノに登場する今川義元や足利義昭などもまたしかりである。もちろんこれは、実際の彼らがそろいもそろって「陰険」であったことを意味するものではなく、「武力」に「正義」を感じ取る「美意識」が、ドラマづくりに影響したものに相違ない。(p.7)

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