またまた神奈川

何故か最近神奈川関係のネタが多いような気がする。http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071213/1197515585http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071205/1196846422もそうだし。「関東学院*1にしてもそうだ。
ともかく、『読売』と『毎日』の記事;


神奈川県警の警備課長、仏画霊感商法」に関与
 神奈川県警警備部の吉田澄雄警備課長(51)(警視)が、「霊感商法」の拠点とみられる東京都港区の事務所の名義人になっていることが19日、同県警の調べで分かった。

 吉田課長は、高価な仏画を販売するなどの「霊感商法」に関与していた疑いがあり、県警は20日に解任を決め、調べを進める。県警はほかにも関与した警察官がいないかを捜査しており、警察組織を利用した霊感商法事件に発展する可能性がある。

 事務所は高級マンション内にあり、山梨県に本社のある会社の出先の拠点となっている。県警は9月から内偵捜査。吉田課長が事務所の賃貸借契約の名義人になり、頻繁に出入りしていることや、吉田課長の口座に不自然な多額の入金のあることを確認した。

 調べによると、同社は「占いによる運勢・姓名の鑑定」などを主な事業とし、全国各地に数十か所の事務所を展開。「ヒーリング(癒やし)」や「祈願」などを名目に客を勧誘し、仏画や書、書籍などを数万〜数十万円で販売している。県警は法外な金額で売りつけていたとみている。県警警察官5、6人も物品を購入していたという。

 マンションの管理人が9月、「人の出入りが多い部屋があって不審だ」と住民らから苦情を受けて調査し、契約者が吉田課長と判明した。

 マンションの賃貸借契約書には、連帯保証人の欄に吉田課長以外の警視の名前が記載されている。県警は、吉田課長を中心とする霊感商法グループの実態解明を進める。

(2007年12月20日3時6分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071220it01.htm


霊感商法>「占い」「癒やし」前面、低料金で客勧誘

12月20日13時7分配信 毎日新聞
 神奈川県警の警備課長だった警視(51)が霊感商法にかかわっていた疑惑は、県警内に大きな衝撃を与えている。警視の口座には複数の警察官から現金が振り込まれていたことも確認され、警察組織を利用した霊感商法事件に発展する可能性も出てきた。

 ◇物品販売でトラブルも

 民間信用調査会社によると、警視が関与していたとみられるサロンの運営を統括する有限会社は00年設立。山梨県甲斐市に本部を置き、主要事業は「占いによる運勢・姓名鑑定」。申告所得額は03年8月期で3億2865万円、04年8月期で5億5846万円で、信者は年々増えているとみられる。ただ物品販売などからトラブルが聞かれ、営業実態は不透明な点が多いという。

 また、サロンについてまとめたホームページ「ヒーリングサロンによる被害」によると、同社は東京都稲城市などにある関連会社を通じてサロンを全国展開。春と秋に「大祭」と呼ばれる行事を開催し、例年3000人以上が集まるという。

 また紙に「力」と書かれた「ライセンス」と呼ばれるお守りのようなものを10万5000円で客に販売。このライセンスを「初級」とし、観音が描かれた「中級」を21万円、「上級」を52万5000円で売っている。

 「占い」や「癒やし」を前面に押し出し、「体験ヒーリング1回1000円」などと比較的安い料金で勧誘しており、徐々に高額な関連商品を販売し、若い女性の被害者が多く発生。7〜8カ月間で150万〜200万円を支払った被害者もいるという。

 今月4日に電話相談「スピリチュアル・霊感被害110番」を開いた全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、約4時間で寄せられた59件、1億3299万円の被害のうち、この企業グループに関する相談は12件で最も多かった。【池田知広】

 ◇最上階にサロン…東京・事務所

 グループがサロンを開設している東京都港区のマンションは20階建てで、1階から3階は会社の事務所が入り、4階より上が居住棟になっている。サロンは最上階にあるといい、警視も別の部屋で暮らしているという。

 マンションは普段から高級車が多く出入りし、周囲には東宮御所などがある赤坂御用地や六本木の新名所となっている東京ミッドタウンがある。この日は朝からマンション前に多数の報道陣が集まり、出勤する会社員らがけげんそうに眺めていた。【林哲平】

 ◇無言で男女出入り…山梨の本部

 グループを運営している団体の本部は山梨県甲斐市にある。県道5号沿いの木造平屋建ての日本家屋で、この日は朝から報道陣が見つめる中、30〜40代とみられる複数の男女が時折、無言で出入りしていた。

 近くの住民によると、普段は若い女性や親子連れが多く訪問。毎月18日や大みそか、元日などには集会があるようで、そのたびに100台ほどがとめられる専用駐車場は県外ナンバーの車で埋まっていた。今月18日にもたくさんの人が訪れたが、これまで、近所での勧誘活動や住民とのトラブルは特になかったという。

 この施設では、現在はないが、二十数年前は別の名称の宗教団体が「薬を飲まずにアトピーが治る」などと大きな看板を掲げていたこともあったという。【小林悠太】

◇「報道で知る」…県警に危機感

 警備課のある神奈川県警本部15階はこの日、幹部が部屋を頻繁に行き来し慌ただしい様子。職員は記者に対し、「われわれも今朝ニュースで知った」と顔をこわばらせた。

 ある幹部は「露ほども知らなかった。少しでもうわさがあればサミットを控えた時期に、若い警視を警備部の所属長級に抜てきするはずがない。処理を誤れば(現職警察官の覚せい剤使用を組織ぐるみで隠した)99年どころの話ではなくなる」と危機感を募らせた。

 横浜市金沢区内にある警視の自宅には早朝から多くの報道陣が詰めかけた。「霊感商法にかかわっていたそうですが」という問いかけに、家にいた女性がドアを閉めたまま「新聞で読んだが、全然わからない。(警視と)連絡がとれなくて困っている」と当惑したような声で答えた。【梅田麻衣子】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071220-00000055-mai-soci

まず、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071210/1197270470とも関係するかもしれないが、そもそもアート作品の値段は、全く関係ない人から見ると、「法外な金額」ということになるのだろう。よく新聞などにも、〈開運〉のための絵の広告が出ているが(上で引用した『読売』と『毎日』では見たことがある)、そういう縁起物の相場と比べて、べらぼうに高いということになるのだろうか。それよりも、祟りとかを用いた脅迫の方が問題になるのでは? 普通、絵を売る人は、将来売れば儲かるということはあっても、買わないと祟られるとはいわない。これに関しては、『毎日』の記事の「最上階」に「サロン」があるというのが重要なのかもしれない。脅し文句以前に、逃げにくい閉鎖的な環境ということになるからだ。
さて、宗教団体ではなくて、あくまで営利目的の「有限会社」らしいが、記事では(顧客ではなくて)「信者」という言葉が使われている。また、記事によれば、既に縁日やお祭りもあるらしいが、それらは既にたんなる販促イヴェントの域を超えたものになっているのかどうか。「信者」とされている人たちの意識がどうなっているかわからないので、何ともいえない*2
ところで、警察官にもスピリチュアルなお悩みを抱えた方がけっこういるんだなということに気づく。しかし、「現職警察官の覚せい剤使用を組織ぐるみで隠した」事件とは性格が違うだろう。絵を買った警官たちはどちらかといえば被害者ということになるのだろうからだ。また、捜査情報を流したとか、警官の職権を利用して(例えば容疑者に)売りつけたということは(今の段階では)ないようだからだ。

『毎日』の新しい記事;


霊感商法:“お札”1枚52万円 「神世界」対策へ弁護団

 「『警察の偉い人もいる』と言って誘われた」。神奈川県警が詐欺容疑で有限会社「神世界(しんせかい)」の関係先を一斉捜索したのを受け、全国霊感商法対策弁護士連絡会紀藤正樹弁護士らが20日、「神世界被害対策弁護団」を結成し、被害実態の一端を明らかにした。団長に就任した紀藤弁護士は神世界の商法について「最近のスピリチュアルブームを利用したもので、非常に問題が多い。できるだけ多くの被害者を救済したい」と述べた。

 弁護団霊感商法問題に取り組んできた弁護士ら約10人で結成。被害者の声を集め、捜査機関と連携しながら神世界の実態を解明し、被害救済を進めていく方針。

 東京都千代田区で会見した弁護団によると、連絡会に寄せられた神世界に関する相談は05年1件、06年9件、07年は20日までに17件と急増。潜在的なものも含めれば「1000人が被害を受け、被害総額は100億円になると思われる」との見方を示した。神世界と警察幹部との関係を持ち出して勧誘された被害者もいるという。

 神世界が経営するヒーリングサロンは最初は低額で人を呼び込み、悩みなどの相談を受けると「先祖の因縁」などと不安をあおったうえ、教義が書かれた書物「神書」やランクごとに値段の違う「ライセンス」と呼ばれるお札のような紙を高額で売りつける手口が目立っている。ライセンスは▽「初級」が10万5000円▽観音が描かれた「中級」が21万円▽「上級」は52万5000円もするという。支払えない人には新規加入者の勧誘もさせていた。

 弁護団の問い合わせはリンク総合法律事務所(03・3515・6681)。【山衛守剛】

毎日新聞 2007年12月20日 21時49分 (最終更新時間 12月21日 2時47分)
http://mainichi.jp/photo/news/20071221k0000m040107000c.html?inb=yt

これを読むと、「警察」の存在が護符のように機能していたことになる。「警察幹部との関係」を持ち出されれば、やっぱりこれは合法なんだと思っちゃう人も多いだろうし、不審に思ったとしても訴える気が萎えてしまうということも十分に考えられる。だとすれば、「現職警察官の覚せい剤使用を組織ぐるみで隠した」事件とは性格が違うにしても、大変なことにはなるのだろう。ただ、裏を返せば、警察の権威がまだまだあったということでもあるのだが。