「処分」と「補填」

承前*1

『ハフィントン・ポスト』(『朝日新聞』)の記事;


2019年04月13日 11時22分 JST
広島中央署の証拠品8500万円が盗まれた事件、当時の署長ら7人処分
容疑者の行方などについて、石田勝彦本部長は「引き続き捜査する」と述べただけだった



広島中央署の8500万円盗難、署長ら7人処分

 広島県警広島中央署で2017年、特殊詐欺事件の証拠品8572万円が盗まれた事件で、県警は12日、証拠品の管理を怠ったなどとして、当時の同署会計課長(55)ら2人を戒告処分にしたほか、同署長(59)を本部長訓戒、4人を本部長注意とし、発表した。

 石田勝彦本部長は会見で、「県民と社会のみなさまに深くおわび申し上げる」と謝罪。一方、捜査の進展状況については「引き続き捜査する」と説明するにとどまった。


 事件は17年5月8日に発覚。現金は同年2月に詐欺事件の容疑者グループから押収した約9千万円の一部で、来庁者が出入りできない1階の会計課の金庫で保管されていた。

 最後にこの現金が確認されたのは同年3月15日。県警は、署内の構造に詳しい者が犯行に及んだとみて、捜査を続けてきた。

 盗まれた8572万円は本来、詐欺事件の裁判が終われば被害者たちに返還する必要がある。そのため県警は所属長級以上の幹部と福利厚生団体「互助会」で相当額を集め、補塡(ほてん)する方針を決めている。

朝日新聞デジタル 2019年04月12日 22時18分)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/police-evidence-money-theft-hiroshima_jp_5cb14468e4b098b9a2d3f58a

大海から特定の魚を1匹釣り上げるに等しい一般の犯罪と違って、この事件の場合、犯人になれる可能性を持つ人間は限定されていて、謂わば水槽から魚を掬い上げるようなものである筈なのに、事件発生後2年経って「引き続き捜査する」としか言えないということに軽く驚くけれど、もしかしてこの「引き続き捜査する」は永遠に続くのかも知れないとも思った。以前に記したかも知れないけれど、広島県警ダブル・バインド状態ということになる。犯人が捕まった場合、それが内部の者でも外部の者でも、「本部長訓戒」とか「本部長注意」では済まされないくらいの、天地をひっくり返したようなスキャンダルになるだろう。「本部長」の首が飛ぶかも知れない。だから、広島県警にとっていちばん安全な状態は「引き続き捜査する」なのだろう。