宮澤喜一氏とか英語とか

宮澤喜一氏が他界されたという。ひとつ言っておかなければならないのは、宮沢氏が小渕内閣に大蔵大臣としてカム・バックしたときに、構造改革マンセー系の人たちによる今更ケインズ主義者かよというようなバッシング的な発言が目立っていたという記憶があるということだ。このことは死を巡る言説ではどう扱われているのか興味深い。ここでは経済ではなく英語の話。
また、J-CASTであるが、『朝ズバッ!』とかいうTV番組の話;


宮沢元首相「奥さんとの会話も英語だった!」
2007/6/29

番組では昨年5月に収録したインタビューを流した。「中国を21世紀にどうしていくんだ。そのことを中心に議論しないと・・・」世界のすう勢にまだまだ強い関心を持っていた。


「戦後政治の生き証人」「自民党単独政権の最後の首相」は亡くなるまで新聞を読んでいたという。

宮沢喜一元首相、87歳だった。半世紀におよぶ政治家生命の終止符を打つ。マスメディアは、まとめておいた「かねて用意」の記事や映像で一斉に報道する。

朝ズバッ!はそれなりの工夫をした。みのもんたが週刊誌の広告風のパネルで隠れ文字をはがしていく。ジャン!の効果音とともに「知性派」「インテリ」「ハト派」「護憲派」・・・

「いつもポケットに憲法を入れていたといいます。憲法というのはポケットに収まるんですかね」イケイケ調の味付けはいつもと変わりがない。

番組がポイントにしたのは「英語力」だった。「自宅でも奥さんとの会話は英語だったそうです」(みの)。談話にふんだんに英語表現を多用したユニークな首相だった。99.9%の国民にはチンプンカンプンだった――

アメリカで首脳と会見するときは駐米大使が同席する。

「大使はもちろん英語は達者ですが、その大使には内容が、さっぱり意味がわからなかったそうです。それだけの見識と英語力があったということです」と杉尾秀哉。

クリントン大統領に自分より英語がうまいとほめられたそうです」と付け加えた。
http://www.j-cast.com/tv/2007/06/29008832.html

「談話にふんだんに英語表現を多用したユニークな首相」ということなら、長嶋茂雄さんはどうなるんだよとも突っ込みたくもなる。こういうTV番組の構成が罷り通るということだと、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070624/1182653188で紹介したKumiko Makiharaという方が怒るのも宜なるかなという感じもする。結局、宮澤喜一氏が英語ができたということをその人格を茶化すネタにしているわけだから。
とはいっても、宮澤喜一−英語というイメージは(私にとっては)それほど強くない。存命中の日本の政治家では、中曽根康弘氏なんかの方が自らの英語力を自慢していたのではないかと思う。吉田茂まで遡らなくとも、日本で最も英語力がある政治家は(自民党系では)早川崇という人だという話は聞いたことがある。社会党系だと、秋葉忠利(現広島市長)とか國弘正雄といった人たちだろう。
秋葉忠利氏や國弘正雄氏は英語圏の大学で教鞭を取っていた経験があるわけだが、宮澤喜一氏は(また中曽根康弘氏にしても)留学経験などない。何故、英語圏への留学経験がある現職の首相や先代の首相の英語力は問題にされないのか。