Abbas Kiarostamiその他

承前*1

春節期間中は上海美術館が入場無料になるので、バスで上海美術館に行く。
1階の展示は『歳月的印痕――兪雲階回顧展』。兪雲階(1918-1992)は江蘇省常州の人で、洋画家。オーソドックスで着実なリアリズムを画風とする。彼は1950年代の〈反右派闘争〉によって教職を追放され、文革でも迫害されるが、そうした中でも描くネタに時代の刻印が捺されているということはあるにしても、基本的な画風には殆ど変化がないのが興味深かった。また、晩年は国画(中国画)に回帰している。
中2階は晋永権の写真展『儺』。江西省福建省の省境地域の漢族集落における儺(鬼やらい儀礼)と仮面のドキュメント。ところで、棹から魚を吊して、外に掛けておく民俗あり。日本でいう〈鰯の頭も信心から〉との関係は?
3階はチリの彫刻家Paolo Valdes Busterの個展。この人は1956年サンティアゴ生まれ。石と木と金属を組み合わせた動物像(馬、牛)が印象的。また、中国での展示に因んで制作された石獅と兵馬俑が野外展示されている。
4階はイランの映画作家Abbas Kiarostamiの写真展*2。展示された白黒写真で視線を惹き付けるのは先ず雪と雲*3。また、人間が不在であるのも特徴的。これは伊太利トリノのMuseo Nazionale del Cinema主催による世界巡回展の一環。同時に、Abbas Kiarostamiの映画の上映会も開催されているらしい。

*1:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070216/1171599957

*2:WANG Jie “A different Lens” Shanghai Daily 16 February 2007を読んで、Abbas Kiarostamiの大学時代の専攻が映画ではなく美術であったことに気づく。彼は1960年代のテヘランで商業美術家として活躍していた。

*3:何処で撮影されたのか。