バイリンガルとアルツハイマー

これからほぼ徹夜で仕事をしなければならないのだけれど、現実逃避をもう1本。
『読売』の記事;


認知症の発症、バイリンガルは4年遅い
 【ワシントン=増満浩志】2か国語を自在に操る「バイリンガル」は、1か国語しか話さない人より、認知症の発症が約4年遅いという分析結果を、ヨーク大学(カナダ)などの研究チームが発表した。

 専門誌「ニューロサイコロジア」2月号に掲載される。

 ベイクレスト記憶診療所(トロント)を受診したアルツハイマー病など認知症の患者184人を対象に、症状の経過と学歴や職業などのデータを分析。

 若いころ身につけた2か国語をずっと使い続けてきたバイリンガルは93人で、認知症の発症年齢は平均75・5歳だった。一方、1か国語だけの91人は平均71・4歳で、4・1年早かった。

 高学歴の人は、認知症の発症が遅い代わりに、症状の進行が速いと言われている。しかし、今回のバイリンガル93人は1か国語の患者に比べ、公教育を受けた期間がむしろ短く、発症後の悪化の速さに差は見られなかった。バイリンガルだと認知症の発症が遅くなる理由は、今のところ不明。

(2007年1月14日9時53分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070114it02.htm

バイリンガル」の定義がこの記事でははっきりしないのだが、小学校への英語教育導入を狙う人はネタとして使う? 小学校で英語をやったくらいでは「バイリンガル」になれる筈もないのだが。「今回のバイリンガル93人は1か国語の患者に比べ、公教育を受けた期間がむしろ短」いということだが、カナダということで、中国(広東)系や日系の移民が多いのだろうか。印度やシンガポールのような多言語社会と単一言語の傾向が強い社会との差はどうなのかとか、日本国内でいえば、韓国系、中国系、伯剌西爾系などの多言語的な環境に置かれている人と(ただの)日本人との差はどうなのかとか、興味深くはある。
「高学歴の人は、認知症の発症が遅い代わりに、症状の進行が速いと言われている」――これって既に常識?