鄭在東「行楽須及春」

台北生まれで上海在住のアーティスト鄭在東の個展「行楽須及春(Pursue Pleasure While Catching Spring)」(滬申画廊)*1、最終日にやっと観ることができた。
楊聖捷「鄭在東:禅宗與嬉皮」(『外灘画報』2006年8月10日号、C10)によると、台北に生まれた鄭在東は、父親が60歳の時に生まれた子どもなので、早くに親を亡くした。大学では映画を専攻し、ビートニクやヒッピー思想にはまった。さらに、「生命的答案」を求めて、禅宗に傾倒する。1998年、45歳のときに単身台湾から上海に移住。創作と「游山玩水」の傍ら、骨董品のコレクションを続ける。
ギャラリーでは、作品のほかに鄭在東がコレクションした骨董もディスプレイされ、〈文人の書斎〉風の雰囲気を醸し出している。青を基調として、主に禅の公案に題材を採った作品は不思議な(例えばマグリットの絵に感じるような)静謐感がある。それは青という基調色の効果だけでなく、(皮肉なことかもしれないが)東洋美術一般を特徴付ける印象主義的/表現主義的なタッチ(それは絵にダイナミズムを与えるのだが)が思い切り抑制されているためだと思った。
作品のうちの幾つかはhttp://www.shanghaigalleryofart.com/en/artists_detail.asp?id=39をご覧いただきたい。