http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060315/1142385289で引いた『朝日新聞』の記事に「調べでは、織田容疑者らは14日、東京都千代田区の法大市ケ谷キャンパスの中庭で、立て看板を撤去しようとした大学職員の作業を妨害した疑い。大学側が110番通報したという」とある。しかし、http://rounin40.cocolog-nifty.com/attenborow/2006/03/post_b177.htmlによれば、
ということである。『朝日』の記事を読んで、大学職員と活動家が押し問答となり、その末に大学側が苛ついてきて、警察を呼んだというストーリーを勝手に頭の中で作りあげてしまった。でもそう読めますよね? また、『朝日』の記事のタイトルは、「中核派全学連委員長ら29人逮捕 法大内の看板撤去妨害」であり、法政大学の学内事情を巡るトラブルよりも「中核派全学連委員長」の「逮捕」の方がニュース・ヴァリューとして重要だという構成になっている。そして、前掲のエントリーでアッテンボローさんが指摘している被逮捕者には「マルクス主義学生同盟中核派に結集している学生のみでなく、ごく普通に大学の自治の問題として抗議行動に参加していた法大のノンセクト学生も多数含まれています」ということはネグレクトされている。そうすると、ああまたマルチューかよという反応が出てくるのはかなり自然だと思われる。何しろ「中核派」というのは世間的には〈札付き〉の存在だ。例えば、
逮捕の状況を報道しているYahoo!の映像ニュースでは、現在は削除されたらしく見ることが出来ませんが、大学の周囲をデモして戻ってきた学生に対して大学当局が言いがかりを付け、同時に殺到した警察が襲いかかっています。処がデモの先頭には誘導と交通整理のための制服警官がいるのです。デモの経験のない方のために説明しますと、公道をデモする場合には各都道府県の公安委員会に対して事前に申請して許可を取る必用があり、その際にデモの出発地点と解散地点、デモコースを届け出るのです。つまり学生たちは事前に届けてある解散地点である法大キャンパスに入っただけなのです。これが「建造物侵入」の事実です。更に「威力業務妨害」ですが、当初は14日に学内から立て看板を撤去する予定であった大学当局は、抗議行動の前に延期を発表しており、何の作業も行っていませんでした。一体全体何の「業務」が妨害されたというのでしょうか。学生はごく普通に抗議行動をしていただけです。警視庁公安部は学生たちを即時釈放すべきです。大学当局は告発を取り下げるべきです。何の正当性もない弾圧なのです。
というhttp://d.hatena.ne.jp/kmizusawa/20060315/p1 へのコメントとか。
# tina 『私は社会人学生をしています。なので、今現在のキャンパス内の空気を少しは知っている人間なんですが、学生自治会を自称する集団って、その存在を、大学側が公認しているわけではないんですよ。だから、たとえば「W大学生自治会」を名乗っていても、実は学生ではない人間が紛れ込んでいることがザラなんですよね。
つまり、公安にマークされているような人間が、その隠れ蓑として、自称「学生自治会」や、大学未公認の学生サークルを利用しているケースもままあるんです。
以前、テロ事件を起こした某新興宗教も、「インドカレー研究会」を名乗って、私の通っていた大学に紛れ込んで、信者を増やそうとしていました(「無料でカレーが食べられます」→「インドのことをもっとよく知りましょう」→「ヨガもやってみましょう」→「ようこそ宗教へ」みたいな流れ)
だから、報道だけを見ていると、あたかも公権力が、学生たちの自由な言説を押さえ込んでいるような印象を受けますが、実際のところは、学生運動の中に紛れ込んでいる革命マルクス主義の人たち(60年代に内ゲバ騒動を起こして死者を出した人たちの系譜)を押さえ込む動きのようです。』 (2006/03/16 13:17)# tina 『今現在でも、学生サークルの勧誘のふりをして、信者を獲得しようとする新興宗教は、存在しています。親元を離れたばかりの学生は、そういった集団の見分け方を知らないので、社会人学生の目から見ていると、非常に危ないんですよね。
だから、学生の身を守るという意味で、大学当局は、未認可の「自称学生自治会」や学生サークルの動きを抑えようとしています。
通りすがりの者ですが、そういう実態があるということをお伝えしたくて、コメントさせていただきました。』 (2006/03/16 13:23)
今引いたコメントの中の「学生の身を守るという意味で」という文言については、それは〈生徒〉に対する対応であって、「学生」に対する対応ではないだろうとは言っておこう。
ところで、この騒動の発端となった法政大学の措置なのだが、http://blog.livedoor.jp/uchamikun/archives/50695016.htmlによれば、
である。引用元はもろ「中核派」という人のblogなのだが、この部分はたんに文章の要約なので、このまま真に受けても大過はないだろう。今回の騒動はこの「通告」に対する反応に端を発しているわけだから、事件の是非を判断するに当たっては、先ずこの是非を判断しなければならない。
法制大学当局は、「学生団体の立て看板・ビラに関する運用について」なる文書を、学生諸団体に一方的に通告した。その内容は、学生部長の許可した立て看板しか許さず、当局が指定した場所にしか出せない。大きさは90×180㌢(ベニヤ1枚)、1団体1枚のみで期間はわずか2週間。②教室内でのビラまき、置きビラは禁止。法大生以外のビラまきも禁止。③ビラも許可制、決められた掲示板しか張れず、掲示期間は3週間。④違反した立て看板などは撤去、撤去にかかった費用を請求する。⑤3月14日から実施する、としている。
今回の騒動に対するコメントとしては、http://nomarbos5.cocolog-nifty.com/blog/2006/03/post_90b2.htmlを読んだ。私は法政大学関係者では全くないので、ここまでは熱くはなれない。この筆者も「中核派には何の思い入れもない」という人である。それどころかネガティヴなイメージさえ抱いている。
ところで、1980年代の法政大学の日本文化、とりわけ映画とか音楽に対する貢献は特筆されるべきものがあると考えている。しかし、それは大学当局とも「中核派」とも関係ない。今はなくなってしまった、あの学生会館に於ける学内・学外の人々の自主的活動によるものだ。因みに、私がヴィム・ヴェンダースの映画を初めて観たのは法政大学に於いてである。勿論、彼が『パリス・テクサス』によってメジャー的にブレイクする数年前の話だ。