劉珏欣「陳偉:我堅決否定学生会」『南方人物週刊』2011年10月17日号、pp.56-57
中国人民大学政治系の陳偉副教授が「学生会:大学最陰暗的一角」というblogエントリー*1を書いたことが議論を惹き起こしている。その中で陳偉氏は、既に学生の自治組織ではなく共産主義青年団の下部組織にすぎなくなってしまった中国の大学の「学生会」(日本でいう学生自治会)など不要であると論じている。「陳偉認為、学生会本応是学生自治組織、現在却成了”被治”組織、完全接受団委的領導或指導、従財政、学生幹部任免各個方面被完全控制、由此産生了諸多問題:学生幹部的産生不透明、官僚作風盛行、不為学生謀利、学生幹部可以享受如保送研究生、評奨学金、参加対外交流活動等各方面優恵」(p.56)。但し、問題の本体は大学の「官僚化」なのだという;
また、「学生会問題:行政化大学体制之冰山一角」*2も参照のこと。
(前略)問題不僅限於学生会、那不過是冰山一角。最近幾年、大学本身的行政化、官僚化愈演愈烈、党団組織及其附属組織的権力是改革開放以来最強的、是大学堕落最快的時期。(後略)(p.57)
日本における学生自治会の衰退については、一般学生の無関心の進行に付け入って左翼党派(一部の大学では右翼党派)による自治会の私物化が進行し、それがさらなる無関心を進行させたということになるだろう。
陳偉氏はハンナ・アレントの研究家であるという(ibid.)。最近のblogエントリーではアレントの詩作が翻訳・紹介されている*3。
『南方人物週刊』の同じ号の何三畏「開放民間組織勢在必行」(p.33)というコラムは中国における民間NPOの困難を論じたものだが、その中で、中国は「只有国家、没有社会」という状態になっていると書かれている。
*1:http://blog.sina.com.cn/s/blog_4acafcd70100tsv1.html
*2:http://blog.sina.com.cn/s/blog_4acafcd70100txjm.html
*3:http://blog.sina.com.cn/s/blog_4acafcd70100thcx.html アレントの詩の一部はヤング=ブルーエルのアレント伝に引用されている。