上野千鶴子

 『毎日新聞』の記事。

  五味香織「ジェンダー・フリー問題:都「女性学の権威」、上野千鶴子さんの講演を拒否」
  http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/women/news/20060110dde041040009000c.html


東京都国分寺市が、都の委託で計画していた人権学習の講座で、上野千鶴子・東大大学院教授(社会学)を講師に招こうとしたところ、都教育庁が「ジェンダー・フリーに対する都の見解に合わない」と委託を拒否していたことが分かった。都は一昨年8月、「ジェンダー・フリー」の用語や概念を使わない方針を打ち出したが、上野教授は「私はむしろジェンダー・フリーの用語を使うことは避けている。都の委託拒否は見識不足だ」と批判している。


教育庁生涯学習スポーツ部は「上野さんは女性学の権威。講演で『ジェンダー・フリー』の言葉や概念に触れる可能性があり、都の委託事業に認められない」と説明する。また、一昨年8月、都教委は「(ジェンダー・フリーは)男らしさや女らしさをすべて否定する意味で用いられていることがある」として、「男女平等教育を推進する上で使用しないこと」との見解をまとめていた。

 一方、女性学とは社会や学問のあり方を女性の視点でとらえ直す研究分野だ。上野教授は「学問的な見地から、私は『ジェンダー・フリー』という言葉の使用は避けている。また『女性学の権威だから』という理由だとすれば、女性学を『偏った学問』と判定したことになり許せない」と憤る。

 同市や開催準備に加わってきた市民らは「講演のテーマはジェンダー・フリーではなく、人権問題だった。人権を学ぶ機会なのに都の意に沿う内容しか認められないのはおかしい」と反発している。