12月21日夜、寒風吹き荒ぶ中、日本人街ともいわれる古北地区へ行く。あまりに寒いので、またエアコンも図体がでかいだけであまり暖かくはないので、ハロゲン・ヒーターを買いにいくため。最初、「フクゼン」へ行って、そこで買ってしまったのだが、これは事後的に考えればとんでもないことで、歩いて数分のカルフール(家楽福)には、さらに安くパワーも強力なものが沢山あったのだ。事実、カルフールであと1、2台買い足そうと思ったのだが、荷物があまりに多くて、今回は断念。さて、「フクゼン」という店の目玉は、日本のTV番組を録画したDVD/CD-Rと日本語の古本ということになるのか。それにしても、日本人技術者が帰国時に置いていったと思しき『化学辞典』全3巻なんて、誰が買うんだ。
で、「避風塘」*1で食事をしたのだが、店内ではTVモニターで、アメリカ製作と思しきクリスマス・ソングのヴィデオを流し続けている。「避風塘」というのは、〈香港漁民風〉をウリにしている店で、ウェイトレスはみな華南漁民風のユニフォームを着ているのだが、それとモニターに映っている西洋人とのコントラストは既に〈笑える〉という域に達していた。妻はクリスマスというのにあまり馴染めないという。それは子供時代のクリスマスの思い出というのがないからということで、今や世界中ムスリムも仏教徒もクリスマスを脱宗教化された消費文化のイヴェントとしてやっているということはあるのだが、妻の子供時代の1970年代の中国ではそのような仕方でクリスマスをやるというのはなかった。というか、そのようなクリスマスが中国に導入されたのは1990年代に入ってからだろう。それだけにとどまらず、妻は、ヴィデオの画面の西洋人*2の子どもたちの作りすぎた表情が文革時代の〈毛沢東賛歌〉や北朝鮮の〈将軍様〉を讃える子どもたちと同じノリだと非難し、さらには西洋人が春節をやるわけでもないのに中国人がクリスマスをやるというのは〈文化殖民地主義〉だとまで言い出す。それは別に不当な説ではないので、私としてはただただ頷くのみ。それはともかく、”We wish you a merry Christmas”とか”Jingle Bell”とか数曲入りのヴィデオをループさせているので、1時間食事をしていれば、10回近くも同じ曲ばかり聴かされるので、それは誰でもうんざりはする。