Undergroundではなく

『IBTimes』の記事;


2009年10月22日 10:22更新


 直木賞作家の角田光代さん(42)が、人気ロックバンドGOING UNDER GROUNDのドラマー、河野丈洋さん(31)と結婚したことが20日にわかった。

 河野さんはGOING UNDER GROUNDの公式ホームページで、「私、河野丈洋は作家の角田光代さんと今月挙式をし、結婚いたしました」「互いに尊敬し合い、助け合いながら、今後はより一層の努力をもって、それぞれの活動を続けていきたいと思っています」と報告。知り合った経緯などは明らかにしていない。角田さんは芥川賞作家の伊藤たかみさんと離婚しており、今回は2度目の結婚。前回とはジャンルが異なるものの、作家とドラマーという表現者同士の結婚となった。

 角田さんは1967年、神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒。1990年に『幸福な遊戯』で海燕新人文学賞を受賞し、小説家デビュー。2005年に『対岸の彼女』で第132回直木賞を受賞している。
http://jp.ibtimes.com/entame/article/biznews/20091022/42908.html

また、『スポーツ報知』の記事;

直木賞作家の角田光代さんが11歳年下ドラマーと再婚

 小説家の角田光代さん(42)とロックバンド「ゴーイングアンダーグラウンド」のドラマー・河野丈洋(31)が10月に結婚していたことが21日、分かった。11歳の年の差婚で、すでに挙式を終えたという。河野が同バンドの公式ホームページ(HP)で発表した。

 角田さんは1990年、「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞、2005年には「対岸の彼女」で直木賞を獲得するなどベストセラー作家として活躍。かつて芥川賞作家の伊藤たかみさん(38)と結婚していたが、その後離婚。今回は再婚となる。

 河野はドラムのほかに、ピアノ、バイオリンなども操り、作詞作曲もこなすマルチプレーヤー。雑誌でコラムを書くなど執筆活動もしている。

 交際のきっかけや期間などは触れていないが、河野は、HPで「お互いに尊敬し合い、助け合いながら、今後はより一層の努力をもって、それぞれの活動を続けていきたいと思っています」と結婚の報告をしている。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20091022-OHT1T00013.htm

「人気ロックバンドGOING UNDER GROUND」というけれど、何年か前に1語の形容詞・副詞ではなくて、前置詞+名詞なのかと些細なところを気にしたことがあるくらいで、殆ど知らず。地下猫*1の親戚?
ところで、角田光代空中庭園*2のオチというのは、崩壊しかけた家族を救ったのは〈家族をやるぞ!〉という強い意志ではなく、疎まれ気味の祖母の病気・入院だったということでいいのでしょうか。
空中庭園 (文春文庫)

空中庭園 (文春文庫)

北極猿など

CDを買う。

Arctic Monkeys Humbug

Humbug

Humbug

Bebel Gilberto All in One

All in One

All in One

これは店員に強く勧められる。

Stacey Kent Breakfast on the Morning Tram

Breakfast on the Morning Tram

Breakfast on the Morning Tram

Stacey Kentは英国のジャズ・シンガーだというが、よく知らず。ジャケ買い


別の店でDVDを3種。

Tim Burton『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 [DVD]

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 [DVD]

Andrew Dominik『ジェシー・ジェームズの暗殺
ジェシー・ジェームズの暗殺 [DVD]

ジェシー・ジェームズの暗殺 [DVD]

Peter Greenawayレンブラントの夜警』
レンブラントの夜警 [DVD]

レンブラントの夜警 [DVD]

海パンにピアス

毎日新聞』の記事;


競泳:茶髪、ピアス、華美なネイルアート禁止…明文化へ

2009年10月21日 9時48分 更新:10月21日 12時59分

 日本水泳連盟は20日に開いた委員長会議で、競泳日本代表に茶髪、ピアス、華美なネイルアートを禁止する選手規範を明文化する方針を打ち出した。来月の日本水連評議員会に報告され、来年4月から施行する方針。

 8月に急逝した古橋広之進名誉会長(当時)は「競技力向上を目指すべき選手が華美に走るのはいかがなものか」と茶髪やピアスに不快感を示していた。日本水連は5月に代表選手に改めて指導したが、明文化は初めて。背景には相次ぐ大学スポーツの不祥事もあり、「5年以下の(選手)登録停止」などの処罰規定も設ける。

 泉正文専務理事は「米国やオーストラリアにも同様の規範がある」と説明。ただし「水泳選手はプールの塩素で毛髪が茶色くなる」として、運用には幅を持たせることになりそうだ。【飯山太郎】
http://mainichi.jp/select/today/news/20091021k0000e050006000c.html

以前「茶髪とピアス」は駄目というお達しをした秋田かなんかの大学があったな*1
ところで、「華美」という言葉がよくわからない。題名も主演の俳優も忘れてしまったが、子どもの頃に視たTVドラマで、〈貧乏学生〉が出てくるのがあって、彼が(たしか)山岳部に入りたいとかいうと、その親だったか兄だったかが山岳部は金がかかるから駄目! といい、水泳部に入れという。水泳部だったら海パン以外に金はかからない。それ以来、水泳部―ビンボーというイメージの連合ができあがってしまったのだ。プールと少年ということだったら、デヴィッド・ホックニーの意見を伺ってみるべきだろう。多分、彼は「茶髪とピアス」よりも海パンは駄目! というかも。NYTにデヴィッド・ホックニーの近況を伝える記事があったのだけど*2、まだ詳しくは読んでいない。
さて、「日本水泳連盟」の〈暴挙〉に絡んで、2002年の『週刊金曜日』に発表された古瀬幸広という人の文章*3が注目されているようだ。この文章、先ず「修験道」に失礼だとは思う。また、ここでいう「精神論」というのは前近代的なものではなく、まさしく近代的な態度である。近代的な心身二元論においては、〈身体〉それ自身が内なる自然、文明の中の野蛮とされ、理性的な意志によって統御されなければならないものとされてきた。この対立はジェンダーや人種などの差別においても変奏されており、〈近代〉を語る上での要諦ともいえるのだが、あまりに広範な問題であり、ここで詳論すること能わず。ただ、「武術」が近代において「科学的合理主義・教養主義」の側面と「精神主義」的側面を併せ持つ「武道」になったことについては、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060226/1140927585で言及した。

「行儀正しい」?

事件 (新潮文庫)

事件 (新潮文庫)

大岡昇平『事件』に、「過度の丁重さは却って、無礼になることがあるが、菊地は行儀正しい言い方が好きなのであった」(p.254)という文あり。俺の日本語の感覚では、


行儀(が)いい
行儀(が)よくない
行儀(が)悪い


で、「行儀」には「正しい」とか正しくないは続かない。「正しい」が続くのは礼儀だろうと思うのだが、「行儀正しい」という言い方はよくされるのか。

羅馬への衝撃

承前*1

アングリカンの分裂が決定的なものとなり、分裂した保守派をカトリックが引き取るということ。アングリカンの分裂は実は英国王権の正統性の危機をももたらしかねないのだが、日本ではあまり関心を持たれてはいないのだろうか。さて、


Andrew Brown “The end of the Anglican Communion” http://www.guardian.co.uk/commentisfree/andrewbrown/2009/oct/20/religion-catholicism


ここでは今回の教皇教令の、〈ヴァティカンへの衝撃〉について言及している部分を引用してみる;


But this is a huge coup for Rome. They may not get the churches – and they certainly don't want to have to pay for them – but they get so much more. For a start, this establishes a tradition of married Roman Catholic clergy in the west. The language, the services, and the gorgeous choral music of Anglicanism are more obviously attractive, but the real long term significance of this announcement is the talk about seminaries. Those who leave now will not be the last Anglican Catholics.

If the former Anglicans can train up successors who will also be able to have wives, the Roman Catholic church may have found a way to escape the prospect of a largely gay priesthood to which the doctrine of compulsory celibacy appeared to condemn them. It is ironic that Anglican efforts to deal honestly with the problem of sexuality should have provided the Catholics with the excuse they needed to strike this decisive blow. God always did move in mysterious ways.

今回の教令は保守派のアングリカンの信者だけでなく、典礼込みで聖職者もカトリックが引き受けるもの。アングリカンとカトリックの差異のひとつは聖職者が結婚可能か不可能かということ。但し、カトリック内部でも独身主義に関しては色々と論争があり、結婚と引き替えに還俗(そして、プロテスタントへの改宗)を選択する聖職者も少なくない*2日本で名が知られている人だと、〈解放の神学〉を唱えていた、元上智大学教授のルーベン・アビトという方。彼は結婚のため、還俗・プロテスタントへの改宗を行い、米国の某プロテスタント系の大学の先生になった
今回カトリックに合流するアングリカンの聖職者も離婚を要求されているわけではない。今後アングリカン系カトリックが〈結婚可能な聖職者〉という伝統を打ち立てることができたなら、結婚を希望するカトリック聖職者は〈カトリック化したアングリカン〉の方へ流れることもありうるのでは?


聖職者の独身制について、神学的には色々な議論や説明があるのだろうが、社会学的な説明としては、たしかタルコット・パーソンズ(”Christianity”)が、世俗社会が〈世襲〉の原理で動いていた時代において、カトリック教会は〈世襲〉原理を拒否することによって自らと世俗社会との境界を画定したと述べていた筈。これについては、山内進『十字軍の思想』もマークしておかなければなるまい。勿論、〈世襲〉原理を拒否することによって自らと世俗社会との境界を画定するというのは仏教僧侶の独身制にも当て嵌まるだろうけど。

Action Theory and the Human Condition

Action Theory and the Human Condition

十字軍の思想 (ちくま新書)

十字軍の思想 (ちくま新書)

中世ヨーロッパにおいて、建前としては独身制であったが、高位聖職者は公然と愛人を持っていたし、下位の聖職者にもメイドという名目で妻がいることが少なくなかった。しかし、それはあくまでも〈こそこそ〉であった。永田諒一『宗教改革の真実』によれば、宗教改革が聖職者のレヴェルで迅速に支持を得ていった理由のひとつは、当時の聖職者に堂々と陽の当たる場所で結婚生活をしたいという欲求が強かったことである。
宗教改革の真実 (講談社現代新書)

宗教改革の真実 (講談社現代新書)