櫻井進

一方で緊迫した情勢がありながら、ここ数日仕事が立て込んでいて、そのせいか睡眠のリズムが崩れ、眠いけれど眠れないという状態が続いていた。
さて、そんな中で、


2008/02/13-02:13 ひき逃げで南山大教授死亡=ワンボックスカー逃走−名古屋
 12日午後6時40分ごろ、名古屋市千種区の県道で、近くに住む南山大学教授桜井進さん(51)がワンボックスカーにはねられた。桜井さんは病院に運ばれたが、約1時間後に外傷性ショックで死亡。車は逃走しており、千種署はひき逃げとみて調べている。
 調べでは、桜井さんが片側2車線の横断歩道を渡っていたところ、中央分離帯付近で名古屋市の板金作業員(43)の運転する軽自動車にはねられ、反対側車線へ転倒したところをワンボックスカーにはねられた。自宅とは反対の方向へ歩いており、桜井さんは外出する途中だったとみられる。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200802/2008021300046&rel=j&g=soc

2008/02/13-13:25 南山大教授死亡事故で男逮捕=ひき逃げ容疑、出頭−愛知県警
 名古屋市千種区の県道で12日夜、南山大学人文学部教授桜井進さん(51)がひき逃げされた事故で、愛知県警千種署などは13日、自動車運転過失致死と道交法違反容疑で、愛知県瀬戸市松原町、会社員金沢幸太郎容疑者(61)を逮捕した。同容疑者は同日朝、「自分がやったかもしれない」と名東署に出頭した。
 調べでは、金沢容疑者は12日午後6時40分ごろ、運転するワンボックスカーで、軽自動車に対向車線ではねられ転倒した桜井さんをひいて死亡させた上、逃走した疑い。
 桜井さんは病院に運ばれたが、約1時間後に外傷性ショックで死亡。自宅から外出先に向かうため、片側2車線の横断歩道を横断中だったとみられている。
 金沢容疑者は勤務先からの帰宅途中だった。「人をひいたとは思いたくなかった」と話しているという。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200802/2008021300473&rel=m&g=soc
という時事通信の記事を偶々見つける。今検索してみたら、多くの記事が既にリンク切れだった。あれ? と思ったが、よくよく見ると、既に先月の事件。この桜井さんとは、『江戸の無意識』とか『江戸のノイズ』の桜井さんですよね。そういえば、櫻井さんについては、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061012/1160664502で、『八犬伝』絡みで言及していた。
江戸の無意識―都市空間の民俗学 (講談社現代新書)

江戸の無意識―都市空間の民俗学 (講談社現代新書)

江戸のノイズ―監獄都市の光と闇 (NHKブックス)

江戸のノイズ―監獄都市の光と闇 (NHKブックス)

この2月の記事を読んで思い出したのは、私の恩師のH先生もまた夜自動車に撥ねられて死んだということだった。さらに、全くの偶然だが、H先生も「南山大学」とは無縁ではなく、最終学歴は南山大学大学院だった。

チベット問題については、今のところ、最もcomprehensiveな情報として、NYTの記事に頼っている。Eg.;


http://www.nytimes.com/2008/03/16/world/asia/16tibet.html
http://www.nytimes.com/2008/03/18/world/asia/18tibet.html

Opening Upなど

日曜は仕事がまだ終わっていないにもかかわらず、昼からSLF*1の最終日、James Farrer氏*2トーク、”A Literary Sexual Revolution: Sexuality and Contemporary Chinese Fiction”*3を聴きに、外灘のCrystal Roomへ行く。トークについては、私の米国英語ヒアリング能力が低いために70%くらいしか聴き取れなかったけれど、まず"You can say that by 2005 China’s sexual revolution has been completed."という言葉と会場の大爆笑から始まり、中国と日本の比較、特に中国人大学生では「処女性」へのこだわりが強い云々という普通に社会学的なネタを枕にして、中国小説の話へ。最初は、セックスと市場経済の関係をアイロニカルに描いた例として、余華の『兄弟』が論じられた。この中でAll China Virgin Beauty Contestが開催されるが、出場者はみな審査員と寝てしまい、さらには偽処女膜を売りつけて一儲けする男が登場する云々という話に、再度会場は大爆笑。あとは、中国小説における性描写の第2のジャンルとしての文化大革命中の性暴力がある、また1980年代のRomantic Revolutionの話等々。
トークが終わって、 Farrer氏の2002年の著書Opening Up: Youth Sex Culture and Market Reform in Shanghai(The University of Chicago Press)を買い、サインをして貰いながら、In Japan, there are discussions about retreat from sexuality among young people, especially in relation to the OTAKU culture. How about China?というような話をする。Farrer氏曰く、オタク文化は確実に中国に導入されているがオタクとセクシュアリティとの関係はまだよくわからない云々。

Opening Up: Youth Sex Culture and Market Reform in Shanghai (Chicago Visual Library-French Popular Lithographic Imagery)

Opening Up: Youth Sex Culture and Market Reform in Shanghai (Chicago Visual Library-French Popular Lithographic Imagery)

Farrer氏の著書だが、その依拠する主なデータは1990年代中頃に行われたインタヴューなので、情報の鮮度という点からはあまり期待しない方がいいかもしれない。しかし、Farrer氏はちゃきちゃきのシカゴ学派なので、試しに頁を捲ってみると、特にそのエスノグラフィックな記述は先ず読み物として面白いということに気付く。あと、エスノグラフィという側面だけでなく、この本の重要性は、理論面においては、ケネス・バークを援用したセクシュアリティに関する上海の表象論にもありそうだ。