Opening Upなど

日曜は仕事がまだ終わっていないにもかかわらず、昼からSLF*1の最終日、James Farrer氏*2トーク、”A Literary Sexual Revolution: Sexuality and Contemporary Chinese Fiction”*3を聴きに、外灘のCrystal Roomへ行く。トークについては、私の米国英語ヒアリング能力が低いために70%くらいしか聴き取れなかったけれど、まず"You can say that by 2005 China’s sexual revolution has been completed."という言葉と会場の大爆笑から始まり、中国と日本の比較、特に中国人大学生では「処女性」へのこだわりが強い云々という普通に社会学的なネタを枕にして、中国小説の話へ。最初は、セックスと市場経済の関係をアイロニカルに描いた例として、余華の『兄弟』が論じられた。この中でAll China Virgin Beauty Contestが開催されるが、出場者はみな審査員と寝てしまい、さらには偽処女膜を売りつけて一儲けする男が登場する云々という話に、再度会場は大爆笑。あとは、中国小説における性描写の第2のジャンルとしての文化大革命中の性暴力がある、また1980年代のRomantic Revolutionの話等々。
トークが終わって、 Farrer氏の2002年の著書Opening Up: Youth Sex Culture and Market Reform in Shanghai(The University of Chicago Press)を買い、サインをして貰いながら、In Japan, there are discussions about retreat from sexuality among young people, especially in relation to the OTAKU culture. How about China?というような話をする。Farrer氏曰く、オタク文化は確実に中国に導入されているがオタクとセクシュアリティとの関係はまだよくわからない云々。

Opening Up: Youth Sex Culture and Market Reform in Shanghai (Chicago Visual Library-French Popular Lithographic Imagery)

Opening Up: Youth Sex Culture and Market Reform in Shanghai (Chicago Visual Library-French Popular Lithographic Imagery)

Farrer氏の著書だが、その依拠する主なデータは1990年代中頃に行われたインタヴューなので、情報の鮮度という点からはあまり期待しない方がいいかもしれない。しかし、Farrer氏はちゃきちゃきのシカゴ学派なので、試しに頁を捲ってみると、特にそのエスノグラフィックな記述は先ず読み物として面白いということに気付く。あと、エスノグラフィという側面だけでなく、この本の重要性は、理論面においては、ケネス・バークを援用したセクシュアリティに関する上海の表象論にもありそうだ。