都市油田など

中国の「地溝油」の話を久し振りに聞いた。


中国における食の安全性がやばいという例示で「地溝油」というネタがさかんに取り上げられたのは、ちょうど胡錦濤政権の末期から習近平政権の初期にかけてくらいの頃だったと思う。ただ、それと同じ頃、「地溝油」は全く別の意味で脚光を浴びるようになったのだった。上海市当局と和蘭のKLMが上海の「地溝油」からジェット燃料を精製するプロジェクトを行うというニュースがあった。また、広州などの中国の他の都市でも同様な構想があるという報道もあったと思う。「地溝油」は新たな利権になるのか! と思った。
その後、気候変動問題が深刻化する中で、膨大な化石燃料を消費し・膨大な二酸化炭素を排出する航空産業はそれ自体で〈反地球的〉と非難される傾向が強まった。プライヴェート・ジェットで移動する富裕層やセレブが「飛び恥」*1として糾弾されることになる。SDGsの流れの中で、航空業界としても、化石燃料依存の低下や再生可能エネルギーの拡大が課題となる。所謂「バイオ燃料」というのは人間用の食糧市場とバッティングしてしまい、貧民が食べる筈だった玉蜀黍が自動車や飛行機に食べられてしまうということにもなりかねない*2。そこで注目されている原料が動植物由来の廃油であり、KFCやらマクドやらを多く抱えている大都市は油田地帯のようなものだともいえる。「地溝油」の価値もこのような文脈で変化しているのでは?



ユーグレナ「持続可能な航空燃料、“SAF”とは?その特徴や今必要とされている理由を紹介」https://www.euglena.jp/times/archives/18179
エネルギー・金属鉱物資源機構「持続可能な航空燃料「SAF」って何? 使用済みの食用油やゴミから燃料ができるってホント!?」https://www.jogmec.go.jp/publish/plus_vol15.html