離接/隣接

「下北沢」というのは小田急井の頭線下北沢駅*1周辺の、「北沢」や「代沢」という地名の一帯を指すといっていいだろう。「下北沢」があれば「上北沢」があるのだけど、「上北沢」は「下北沢」の隣りではない。京王線上北沢駅桜上水八幡山の間。下北沢から上北沢に行くには、井の頭線に乗って明大前で京王線に乗り換えなければならない。
因みに、世田谷区でも、祖師谷と上祖師谷、野毛と上野毛、用賀と上用賀は隣接している。また、北烏山と南烏山も。


「【雑記】下北沢と上北沢って離れてない?ここから始まる地名の話」https://rekisanpota.blogspot.com/2020/12/blog-post_27.html


「上北沢・下北沢については、後ろに「北沢」とついていることからも、この「北沢」の上流域・下流域を呼び分けるために「上下」を付けたのだろうと推察される」という。


仮に「北沢」の上流域を上北沢、下流域を「下北沢」と呼んでいるとすると、その「北沢」とは何だろうか。その答えは現在「北沢川緑道」として名を残す「北沢川」なのだろうと考えるのが安直ではある。

北沢川は元々流量の少ない川で、上北沢の都立松沢病院にある「将軍池」やその周辺の湧水を水源としていたとされる。万治元年(1658年)に玉川上水からの分水が合流し、その後は北沢用水として農業などに利用されていた。現在はほぼ全面が暗渠化しているが、緑道の下には今でも水の流れがある。

北沢川が烏山川と合流して目黒川になるのは、現在の世田谷区三宿二丁目。その少し北が下北沢村の中心地だった場所である。

かつての北沢川が「川」という規模でなく「沢」だった時代、その上流域と下流域を示すの使われた呼称が「上北沢」「下北沢」なのだろう。

See also


成田全「上北沢と下北沢はなぜ「上下」? 「暗渠」を見つけると、街の景色が変わって見える」https://ddnavi.com/news/249910/a/