森沢明夫「ふしぎな「詩」小説」『本の窓』(小学館)392、pp.58-59、2020
曰く、
森沢明夫という作家、知らないのだけど、吉永小百合主演で、米倉斉加年が最後に出演した映画でもある成島出の『ふしぎな岬の物語』*1の原作者なのか。
誰の人生にも「壁」は付きものです。
しかも、その「壁」の種類は色々で、努力をすれば越えられる「壁」もあれば、あまりにも高すぎて、もはや絶望すら抱かせるような「壁」もあります。
最もよくある身近な「壁」といえば、それは自分の置かれた「環境」というやつかも知れません。
たとえば、どんな親のもとに生まれたが、どんな国に生まれたか、どんな学校で、どんなクラスに入れられたか、どんな肌の色に生まれたか、あるいは心身にまつわる障害の有無なども――。
この「環境」という名の「壁」は時にやっかいで、一筋縄ではいかないケースがあります。しかも、そこにはしばしば差別やヘイトが生まれてしまいます。
いまの日本(世界もそうですけど)には、そういう嫌な「壁」がずいぶんと増えてしまって、なんだか閉塞感が出てきた気がしませんか? ぼくは、この数年でかなり息苦しさを感じるようになりました。そして、息苦しさを感じるたびに、よくこう思うのです。
「違い」と「嫌い」は別物なのになぁ――。(p.58)