- 作者: 沼田真佑
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2019/09/03
- メディア: 文庫
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沼田真佑「影裏」*1から。
「明日朝の新幹線で帰る」というメイル(p.31)を寄越した「副嶋和哉」に「わたし」は電話をかける。
「冷やし中華」って仙台発祥なのか!
仙台には昨日の夜に着いていて、ホテルの近くで牛タンを食べたが広い店内にお一人さまは自分だけ、味もそう特別なものとは思えなかった。今日は日中は支店の営業マンに同行し、プレゼンを二件済ませた。午後の営業報告会議の合間には、そこの経理部長に冷やし中華発祥の店へ連れて行かれた。明日は正午前には東京に戻り、報告書を提出したら退社できる。たった一泊、本来なら日帰りも可能な出張とはいえ、土産はやはり必要だろうか。笹かまもずんだも足が早いと聞いている。でも冷蔵庫に入れておくから、いくら何でも月曜までは保つと思うけどどうかなあ。無難にクッキーとかに逃げるべきかねえ。それか萩の月とか。
あの食の細かった和哉から、こんなにも食べ物の名前が飛び出してくるのは意外だった。以前の電子部品メーカーではない、都内のイベント会社に勤務しているらしいことにも驚かされた。(後略)(p.45)
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