黒岩揺光*1「旅館が20年で9割減った南魚沼市で、私が民宿を始めた理由」https://forbesjapan.com/articles/detail/24578
「理由」についてはあまり書いていない気がする。
南魚沼市の盛衰;
「JRパス」と長期休暇の効果;
私の故郷、新潟県南魚沼市の旧大和町には上越新幹線の浦佐駅があり、東京駅から約90分。人口1万5000人の町ながら、15年前まではスキー場が三つあり、冬は多くのスキー客で賑わった。特に、浦佐駅から徒歩15分にある浦佐スキー場は、スキー学校が全国的知名度を誇り、周辺ではたくさんの旅館や民宿が営業していた。しかし、少子高齢化とレジャーの多様化でスキー場経営は赤字が続き、2006年に浦佐国際スキー場が、2011年に浦佐スキー場が閉鎖になった。周辺の宿泊施設も一気に閉業し、ピーク時に70軒近くあったのが、今ではたったの7軒になった。旅館だった建物はアパートや高齢者施設になったものもあれば、買い手が見つからず、無料同然で売りに出ている物件もある。
私は、そんな廃墟と化した建物から徒歩8分の所で、昨年7月、お寺だった建物を改装して民宿「ホタル」を始めた。「旅館がこれだけ廃業に追い込まれているのに、正気か?」とか「観光資源がない所に誰が泊りにくるのか?」とか「お寺だった所に泊まるなんて不気味」と言われた。
「行き当たりばったりの長旅」というのはまさにバックパッカーのやっていること。そういえば、私が出会ったことのある日本人バックパッカーは悲壮感が漂っている人が多かった。旅に出るために会社を辞めたとか、並々ならぬ覚悟を以て旅をしているという感じだった。
外国人観光客がたくさん来るということは、日本人では気付くことのできない観光資源が発掘できるということだ。「廃寺に泊まるなんて怖い」という日本人はいるのかもしれないが、外国人からしたら、築200年以上の文化財で寝泊まりできる体験は貴重なのだ。日本人の旅スタイルは、1週間以内の旅行で観光名所めぐりを目一杯詰め込むプランが多い。しかし外国人には、自由に行き当たりばったりの長旅をしたいと思う人が多い。日本人より休暇が長く、JR乗り放題のパスもあるため、ユニークな体験ができれば、そこが無名な場所であっても、外国人はやってきてくれる。