とんでも話

田端あんじ*1「あなたの地元では「豚汁」をなんて読む? 九州の一部では「とんじる」ではなく「ぶたじる」と読みます」https://youpouch.com/2018/10/15/534362/


「豚汁」をどう念むか。「とんじる」か「ぶたじる」か。アンケート・サイト『みんなの声』の「「豚汁」なんて読む?」によれば、長崎県佐賀県、福岡県では「ぶたじる」と念む。また、有明海によって長崎県佐賀県から隔てられた熊本県では「ぶたじる」と「とんじる」が半々。所謂西九州で「ぶたじる」と呼ばれていることになるのか。
でも、長崎県で「ぶたじる」と呼ばれている意味は大きいだろう。(琉球を除くヤマトという意味での)日本においては、弥生時代はともかくとして、ずっと養豚、また豚肉を食べる文化は存在しなかった。だから、「猪」の字義は中国では古来より家畜としてのpigだったのに対して、日本ではwild boarだった。その例外が長崎だった。長崎の浦上村では、江戸時代、和蘭人や中国人向けに豚を飼っていたのだった(王振忠「剃頭」in 『日出而作』*2、p.51)。その長崎において、「ぶたじる」と呼ばれているわけだ。
個人的には「とんじる」というけれど、「ぶたじる」でもそんなに違和感はない。私と同じくらいの世代だと、小学生時代に、プロレスラーのボボ・ブラジルのことを、


ボボ・ブタジル


と言ったことがある人は(九州に限らず)少なくない筈だ。