和蘭妻になる

承前*1

関根和弘*2「「人形は理想形」女性が自らラブドールに変身する理由とは?」https://www.huffingtonpost.jp/2018/03/13/love-doll-photo_a_23384041/


和蘭妻になろうとする女性たち。


「人間ラブドール製造所」*3。そんな屋号で2017年12月から始まったサービスがある。メイクの力や撮影技術によって女性をラブドールに似せて、写真作品に仕立てるという内容だ。サービス開始から数人を撮影。問い合わせや予約も定期的に入るという。

やっているのは、LEiyAさんと、男性にメイクをするなどして女装を体験してもらう店「女装紳士」*4を経営している女性メーキャップアーティストのIMA(イマ)さん。大阪府東大阪市にあるLEiyAさんの自宅をスタジオ代わりに営業している。

ヒントになったのは、「ラブドール」を人間化した篠山紀信の『LOVE DOLL×SHINOYAMA KISHIN』という写真集だったという。それを逆転させて、生身の女性を人形化すること。
如何にして、人間を「ラブドール」化するのか。

一方、LEiyAさんはこう話す。

ラブドールってシリコンでできてるんですよ。あの素材の感覚を出すために、「人間ぽさ」をなくしていくことが重要ですね。自然光を当てて肌を柔らかく見せるとか、場合によっては撮影後に画像をソフトで加工して、肌のしわなどを消すとか。

ドールは人間のように柔軟な姿勢を取ることはできないので、そういう人形っぽさを出すために、関節の角度や重心の置く場所などに気を使います。

あと最も大事なのが、少しだけダサい感じにすることです。私たちは「ややダサ感」って言ってますが(笑)、これは何かというと、ラブドールって男性が使うものじゃないですか。だから服とかも「男性目線」で選ばれた服とか下着とかが着せられるんです。そして、それは女性がかわいいと思うものから少しずれてる(笑)。

だから、こちらもあえてややダサな服を着てもらったりするんです。そうすることで、お客さんをリアルなラブドールに仕上げることができるんです。

「亜美」という「ラブドール」になった女性;

―なぜラブドールになってみようと思ったんですか。


子どもの頃から人形が好きで、それこそリカちゃんでよく遊んでいました。高校生になると、球体関節人形が好きになって。特に漫画の「ローゼンメイデン」の人形ですね。

人型の造形が好きなことが根底にあるんでしょうが、人間はある意味、気持ち悪いところもあって(笑)。それに比べると、人形は美しくてかわいくて、きれいなものとしてだけ存在している。そこがいいんですよね。

IMAさんが女装メイクをやっているときからファンで、Twitterをフォローしているんですけど、IMAさんが人間ラブドール製造所を始めるというのを知って。それですぐに予約しました。

さっきも言いましたけど、自分はカメラの前で表情をつくるのが苦手で。自分で言うのもなんですが、逆に無表情の方が絶対にかわいく撮れると思ったんです。ドールだとむしろ表情がいらないですよね。だから「奇跡の1枚」が撮れるだろうと(笑)。やってみて、実際撮れたと思っています。

まあ、歌舞伎の所作というのはそもそも文楽の人形の所作を模倣したもの、つまりは人間の人形化だっただったのだ。
ところで、男性の問題として、和蘭妻と「性行為」するというのはちょっと理解が難しいところがある。和蘭妻というのは究極のマグロだよね。その欲望はネクロフィリアに接近するのだろうか。「ラブドール」というのはそういう接触=性行為の対象という側面がどうしてもあるのだろうけど、眼差される対象ということを純化した存在として、マネキン*5がある。マネキンになりたいという女性はいるのだろうか。マネキンといえば、ロクシー・ミュージックの『マニフェスト*6
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