西西

とはいっても香港の作家*1ではない。

朝日新聞』の記事;


評論家の西部邁さんが死去 多摩川で自殺か
2018年1月21日20時20分


 21日午前6時40分ごろ、東京都大田区田園調布5丁目の多摩川で、評論家の西部(にしべ)邁(すすむ)さん(78)*2の長男から、「父親が川に入った」と110番通報があった。警視庁と消防が男性を救出したが、約2時間後に搬送先の病院で死亡が確認された。

 田園調布署によると、男性は西部さんだった。同日未明に家族が「父親がいない」と110番通報していた。行方を捜しているなかで、多摩川で長男が見つけ、通報したという。河川敷に遺書が残されていたといい、署は自殺の可能性があるとみている。

 西部さんは1939年、北海道生まれ。東大経済学部卒、同大大学院修士課程修了。元東大教授。60年安保闘争の際には全学連の指導層におり、後に保守派の論客として活躍した。経済学研究でスタートし、大衆化や米国流の経済思想を鋭く批判。「ソシオ・エコノミックス」「大衆への反逆」「六〇年安保」などの著書で注目された。88年には教員人事の進め方を不満として東大教授を辞職。94年、保守派を自任する月刊オピニオン誌「発言者」を創刊し、主幹を務めた。80年代後半以降は討論番組「朝まで生テレビ!」のメンバーとしても活躍。柔らかな表情から鋭い批判の言葉を繰り出し、人気を呼んだ。

 歴史に根ざした伝統を重んじ、人間の理性を過信しないことが保守思想の特徴であると訴え、幅広い人々に影響を与えた。戦後日本の保守は本当に保守の名に値するかという問いを発し続け、対米追従的な「親米保守」を鋭く批判した。

 今世紀初頭、9・11同時多発テロを経験した米国がイラク戦争になだれ込んでいく際には、保守派の立場から反対の論陣を張った。日本の保守政権が米国追認に傾く中、「侵略であると断じざるを得ない」(本紙2004年)と語った。
https://www.asahi.com/articles/ASL1P55P9L1PUTIL00Z.html


田原さん「強烈な個性、失われ残念」 西部邁さん死去
2018年1月21日23時15分



<ジャーナリスト田原総一朗さんの話>

 「朝まで生テレビ!」に出演をお願いした時、「悪役になることを承知で出演してくれないか」と頼んだ。かつては学者や評論家というと、左翼なのが当たり前。それでも出演してくれ、ラジカルなことを率直に語ってくれた。民主主義は、ポピュリズムを生み、ファシズムにつながるから危険である、といったこともすでに語っていた。

評論家の西部邁さんが死去 多摩川で自殺か
 僕は彼とは意見は違ったけれども人間として信頼していた。決して何が起きても時流におもねらない。そういう人物でした。

 昨年秋にラジオ放送で会った時も、今の日本のあり方を痛烈に批判していた。彼のような強烈な個性が(今の日本社会から)失われてしまったことを残念に思う。

     ◇

<西部さんと親交が深かった中島岳志東京工業大学教授(近代思想史)の話>

 文芸評論家がおもに担ってきた戦後保守の中で、著作「ソシオ・エコノミックス」(1975年)などで社会科学的な思考を導入して保守思想を展開した突出した思想家だった。人間の合理性を疑いながらも、徹底して合理的に考え続け、保守とリベラルとは相互補完的な関係にあると早くから考えていた。

 「思想家は時評から退いてはならない」という言葉を何度も聞かされた。テレビなどメディアへの露出もその信念に基づくものだったと思う。明治時代の中江兆民福沢諭吉らのように、思想とは、今起きていることにどう切り込むかによって生まれるという強い信念を最後まで持っていた。死をとても残念に思う。
https://www.asahi.com/articles/ASL1P7HCXL1PUCVL00F.html

西部さん、2013年にお連れ合いを亡くしていたんだね*3。妻に先立たれ、その後を追うというのは、江藤淳の反復?
See also


西部邁自殺」http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20180122/1516572854
「評論家の西部邁さん死亡 自殺か 現場に遺書」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180121/k10011296571000.html


こちらは、西部邁とは対極的な政治的スタンスの人だけど。
朝日新聞』;


西原博史早大教授、中央道ではねられ死亡 事故で車外に
2018年1月22日09時26分


 22日午前0時10分ごろ、東京都三鷹市新川4丁目の中央道上り線で、早稲田大学社会科学総合学術院教授の西原博史さん(59)*4=中野区鷺宮6丁目=がトラックにはねられた。西原さんは全身を強く打ち、搬送先の病院で死亡した。西原さんは単独事故を起こした後、車外に出て走行車線上ではねられたという。

 警視庁はトラックを運転していた運送会社員の高原充宏容疑者(50)=八王子市滝山町1丁目=を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで現行犯逮捕し、容疑を同致死に切り替えて調べている。「停止している車に気を取られた」と述べているという。

 高速隊によると、現場は片側2車線。西原さんは約10分前、乗用車で中央分離帯に衝突する単独事故を起こし、追い越し車線に停止。事故を通報した後続車の男性とともに中央分離帯に避難していたが、何らかの理由で走行車線まで出たという。

 西原さんは憲法学が専門で、思想・良心の自由に関する論考を多数発表。教育現場での「君が代」斉唱問題などについても積極的に発言してきた。著書に「良心の自由と子どもたち」など。父親は刑法学者の西原春夫・元早大総長。
https://www.asahi.com/articles/ASL1Q2TJTL1QUTIL008.html

See also


「早稲田大教授が中央道ではねられ死亡 事故で車外に出た直後」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180122/k10011296891000.html