音楽のことではなく

11月25日付の『朝日新聞』の記事;


「何であんな黒いのが好き」自民・山本氏、アフリカ巡り
2017年11月25日11時56分



 前地方創生相の山本幸三自民党衆院議員(福岡10区)が、北九州市で23日に開かれた三原朝彦衆院議員(自民、福岡9区)の「政経セミナー」のあいさつで、三原氏のアフリカ各国との交流や支援活動に触れ「何であんな黒いのが好きなのか」と発言していた。山本氏の事務所などへの取材でわかった。

 山本氏は25日、福岡市であった党福岡県連のセミナーに出席した際、取材に対し「アフリカ大陸のことを表現した。差別的なことを意図しているわけではない。表現が誤解を招くということであれば撤回したい」と述べた。

 山本氏の事務所や関係者らによると、山本氏はあいさつで三原氏の国内視察に同行したことを話した後、「三原氏はアフリカが好きで、何であんな黒いのが好きなのか、と思っていた」と述べた。山本氏は取材には「『黒いところが好きなのか』と。三原氏とは、ほかの色々なところに一緒に行ったが、アフリカ大陸はついていけない。遠いところだし」と説明した。

 山本氏の事務所は25日、「アフリカが『黒い大陸』『暗黒大陸』と表現されたことが念頭にあっての発言で、黒人を指して言ったわけではない」と説明した。
http://www.asahi.com/articles/ASKCT3CT8KCTTIPE005.html

山本幸三っていうのは、博物館学藝員のことを罵倒して物議を醸した奴か*1
タイトルだけ見て、音楽の話かと一瞬思ったよ。例えば、ヒップホップはあまり好きじゃないとか、俺はカントリーの方が好きだとか。そうではなく、「差別的なことを意図」するまでもなく自明化された差別意識と世界史に関する無知。
以前引用した山極寿一氏の文章*2を再度提示しておく;

(前略)私が研究しているゴリラは、19世紀にアフリカの奥地で欧米人に発見されて以来、好戦的で凶悪な動物と見なされてきた。それは初期の探検家たちが作り上げた物語がもとである。その話に合わせてゴリラはキングコングのモデルとなり、人間を襲い、若い女性をさらう邪悪な類人猿として人々の心に定着した。そのため、ライオンやゾウと同じような猛獣と見なされ、盛んに狩猟された。
発見以来100年以上たってから、野生のゴリラの調査が始まり、彼らが平和な暮らしを営む温和な性質をもつことが明らかになった。現地のアフリカの人々もゴリラを特別視などしていなかった。こういった物語はアフリカを暗黒大陸、ジャングルを悪の巣窟と見なしたがった欧米人の幻想だったのである。それは欧米各国がアフリカに植民する格好の理由になった。暗黒の世界に支配されている不幸な人々に光を当てるためというわけである。(「作り手による「物語」」『毎日新聞』2013年5月5日)
アフリカ研究者やアフリカの血を引く人々の山本への批判は全く妥当なものだと思う;


朝日新聞山本幸三氏「何であんな黒いのが好きなのか」と発言 ⇒ アフリカ研究者ら抗議文」http://www.huffingtonpost.jp/2017/12/02/yamamotokozo_a_23295286/
錦光山雅子*3 「「あんな黒いのが好きなのか」山本衆院議員の発言にアフリカ系日本人のティーンズたちが、衝撃を受ける」http://www.huffingtonpost.jp/2017/12/09/africa_a_23302575/