「語りえぬもの」?

『ねとらぼ』の記事;


2017年05月30日 20時30分 更新
哲学的な啖呵切ってきそう……! 論理哲学論考をモチーフにした「ウィトゲンシュタイン特攻服」が思考上等でかっこいい

「ケンカするより哲学しようぜ!」
[宮原れい,ねとらぼ]

 メンチ切る前に2度見されそうな特攻服「ウィトゲンシュタイン特攻服」*1がかっこいいです。冷静に啖呵を切ってきそうな感すごい……!

 投稿・制作したのは、写真家で美術家の飯島モトハ(@mochiunagi)さん。オーストリア出身の哲学者、ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの代表作『論理哲学論考』をモチーフにした特攻服で、飯島さんの個展「デカい牛の デカい内臓」にて展示されています*2

 後ろ姿でその哲学書のタイトルを背負い、正面では「世界は起こっている事の総体である」「すなわち事実とは、諸事態の存立のことである」など、同書の命題がそのまま書かれた特攻服。どう見ても暴走よりも思考の二文字に魂燃やしてそうな、強い主張を感じるデザインとなっています。

 「論理哲学論考」とは上記のような7つの主要命題(と多数の命題)からなり、哲学が思考できる限界・領域を明確に定義した上で、言語と世界の関係・問題について主張した著作。7つ目の命題「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」が有名で、特攻服でも目立つ左右の腕部分に入れられています。

 なお同書は前期のウィトゲンシュタインの論で、後期では死後に出版された著作『哲学探究』で示した思想、言語活動をゲームとして捉えた「言語ゲーム」が有名です。

 前期・後期で問題の扱い方に違いがあり、飯島さんによると「企画段階では(特攻服の)表裏で前期後期の表現も考えました」とのことですが、分かりやすく前期に統一したそうです。ちなみに好みとしても「前期が分かりやすくて好き」ということでした。

 Twitterではその斬新すぎる特攻服に「かっけええ!」「イカしてる」などの声が寄せられ、哲学者で『勉強の哲学』などの著作を執筆する千葉雅也さん(@masayachiba)も「ウィトゲンシュタイン特攻服ほしいなあ」とツイートするなど話題に。

 個展「デカい牛の デカい内臓」は新宿眼科画廊にて開催中で、6月7日の期間まで実際に見ることができます。またウィトゲンシュタイン特攻服は15万円で販売も行っているので、気に入ったらその場で着て帰ることも可能です。



(宮原れい)
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1705/30/news144.html

論理哲学論考 (岩波文庫)

論理哲学論考 (岩波文庫)

画像はオリジナルを見てね。
命題の集積という『論理哲学論考*3の論述のスタイルだからこそ「特攻服」に合うのではないかと思った。ベルクソンフッサールのように粘着的な論述をする人はやっぱり「特攻服」には合わないだろう。『論理哲学論考』に対抗しようとするなら、スピノザの『エチカ』*4しかないのでは? ニーチェアドルノのことは直ぐに思いついたのだが、彼らはちょっとずれているという感じがする(どのように?)。
エチカ―倫理学 (上) (岩波文庫)

エチカ―倫理学 (上) (岩波文庫)

エチカ―倫理学 (下) (岩波文庫)

エチカ―倫理学 (下) (岩波文庫)