歯止めは

承前*1

ドナルド・トランプ当選を巡って。


mtcedar*2 2016/11/10 19:35

ところで内田樹がトランプ当選のことでキナ臭い呟きをしているんですよね。

https://twitter.com/levinassien/status/796281618394529792
“「投票するはずがない」層が意外にも投票行動を起こしたという分析に僕も与します。これがDeep Americanの覚醒だとすると、「家族・労働・祖国」のスローガンに呼応する政治勢力が世界中で立ち上がるということです。安倍政権も明日にはきっと「トランプ万歳」の旗を振り回すでしょう”

「家族・労働・祖国」ってのが何処かで聞き覚えがあるなと思ってググってみたらなんとドイツ占領下のフランス傀儡政権(ヴィシー政権)が「自由・平等・博愛」ってのに代えて用いたスローガンなんですよね。内田のTLを見る限りではトランプに批判的なとこをRTしている様ですけど、彼の兎角「国民国家」を持ち上げて「グローバリズム」を否定的にみる言動からして寧ろ今回の勝利を腹の底では歓迎すらしているのではないかとさえ訝りたくなります。

あと、何度もこの日記で批判の俎上にあげていた堀茂樹はトランプ当選に万々歳だそうです。

https://twitter.com/hori_shigeki/status/796354160488628229
“とにかく、トランプが勝ち、共和党も勝った。グローバリズムの終焉と、良くも悪しくもナショナルな価値への重点移動という意味で、クリントンが勝つより世界にとって幸いだったのではないかと思う。但し、これは、米国にちゃんと憲法があり、三権分立も健在であるように見えるからに他ならない。”
https://twitter.com/hori_shigeki/status/796358453790785536
英米の強みの一つは、歴史的・文化的な事情により、民主政治の中身ではなく、その枠組みである体制が殆ど永続的に安定している事だ。だから、体制動揺の不安なしに、信じがたいほどドラスティックに政治方針を転換する事ができるのである。サッチャーレーガン登場の時もそうだったし、今度もそうだ。”

レーガンサッチャーまで好意的に引き合いに出しているとこからして、この御仁は“小沢信者”すら通り越して右翼じゃないかとさえ思いたくもなります。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20161110/1478729263#c1478774121

堀茂樹って、「家族・労働・祖国」が「自由・平等・博愛」にtrumpすることを言祝いでいるのね。それはまあ困ったちゃんなのだけど、「米国にちゃんと憲法があり、三権分立も健在であるように見える」というのは、そうだろうなと思う。米国人自身もそうかも知れないけれど、非米国人は猶更のこと、エスや自我としての大統領や議会の暴走に対する歯止めとして、超自我たる合衆国憲法最高裁判所に期待をかけなければいけないということはあると思う。日本では、総理大臣が立憲主義からの「離脱」を謳ったり*3、それどころか立憲主義なんて知らないよと公言する有力政治家がいたりするけど*4立憲主義立憲主義と口を酸っぱくして言い続けなければいいけない所以である。