高原明生、前田宏子『開発主義の時代へ 1972-2014』

高原明生、前田宏子『開発主義の時代へ 1972-2014 中国近現代史5』*1を最近読了。


はじめに


第1章 革命から発展への転換 一九七二−一九八二
第2章 改革開放をめぐる攻防 一九八二−一九九二
第3章 社会主義の中国的変質 一九九二−二〇〇二
第4章 中核なき中央指導部 二〇〇二−二〇一二
終章 超大国候補の自信と不安 二〇一二−二〇一四


おわりに
参考文献
略年表
索引

この本の特徴は「一九七八年の第一一期三中全会が時代の分水嶺だったとする現在の中国共産党の正史とは異なり、敢えてその前後の連続性に着目する立場を取っている」ことだろう(pp.ii-iii)。また、「急進主義」vs.「開発主義」という対立。曰く、

(前略)七八年に開催された第一一期三中全会は、確かに現代中国史において一つのメルクマールとなる出来事であったが、当時は文革派の思想的な影響もまだ強く、この大会で改革に向かって完全に舵を切れたわけではなかった。文革中の七〇年代初めにおいて、後の開放政策につながる動きはすでに始まっており、開発主義と急進主義、そして七〇年代末以降は、市場と計画、さらには地方と中央がせめぎあう中で、一進一退を繰り返しながら、改革・開放は定着していったのである。(pp.3-4)