『神戸新聞』の記事;
「人権は大切だが全体の利益の中でのバランスが必要だ」というのは言っている意味がわからない。
「宝塚がHIV感染の中心に」自民議員発言、議事一時中断
神戸新聞NEXT 6月24日(水)22時0分配信
性的少数者(LGBT)支援に向け、兵庫県内初の基本方針策定を目指す宝塚市。24日の市議会定例会で、自民党議員団の大河内茂太議員*2が一般質問に立ち、「(支援条例が制定され)宝塚がHIV感染の中心になったらどうするのか」と発言。別の議員が「不適切」と取り消しを求め、議事が一時中断した。
市はLGBT支援に向けて4月に検討部会を設置。10月をめどに基本方針を策定する。
大河内議員は「HIVは、特に男性間の性的な接触によって広がっている。条例ができた場合、話題性もあり、たくさんの人が集まり、HIV感染の中心になったらどうするのか、という議論が市民から出てくる」と発言。これに対し、北野聡子議員=市民ネット宝塚=が取り消しを求め、議事が中断した。北野議員は「同性愛者への差別や偏見を助長する発言」と指摘した。
大河内議員は「差別の意図はない。支援の必要性は認めている。人権は大切だが全体の利益の中でのバランスが必要だ」と話した。(土井秀人)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150624-00000008-kobenext-l28
それから、他のソースでは大河内を批判した北野聡子さんの所属が「民主党」になっている。
『朝日』の記事;
『J-CASTニュース』の記事;
「HIV感染の中心、懸念の声」 宝塚市議発言で紛糾
朝日新聞デジタル 6月25日(木)8時51分配信
兵庫県宝塚市が性的少数者(LGBT)を支援する条例制定を検討していることに対し、24日の同市議会6月定例会で、自民党の大河内(おおこうち)茂太市議(44)が「宝塚に同性愛者が集まってHIV(エイズウイルス)感染の中心になったらどうするのか、という議論が市民から出る」と発言。他の議員が発言の取り消しを求め、議事が一時中断する事態になった。
市は同性カップルを結婚に準じる関係と認める証明書発行の条例制定などを検討している。大河内市議は一般質問でこれらの支援策を取りあげ、「女子校や男子校などでは同性カップルが多い。環境によって後天的に同性愛者になる。学校での児童生徒への啓発活動が同性愛を誘発する可能性を否定できない」とも述べた。
大河内市議の質問を民主党の北野聡子市議(62)が遮り、発言の取り消しを求めた。北野市議は議会後、「HIV感染者や同性愛者への偏見を助長する差別的な発言だ」と話した。
大河内市議は取材に対し「差別する意図はなく、発言を取り消すつもりはない。LGBTへの支援は必要だが、同性婚容認につながる条例制定に反対する立場から発言した」としている。市議会は近く議会運営委員会を開き、発言の取り扱いを協議する。(鈴木裕)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150625-00000016-asahi-soci
まあHIVと同性愛者を結び付けるというのはかなり反時代的な差別的言説だと思った。大河内が中学生だった1980年代ならともかく、21世紀にも生き残っていたんだと妙な意味で感激。「 女子校や男子校などでは同性カップルが多い」。そういうことを調べた人はいるのだろうか。根拠のない第一印象はBL小説(or漫画)の読み過ぎということ。大河内、妹のBL小説を盗み読みしただろう!*3 ただ、明治時代の旧制中学とかだったら分からないでもない。その頃は古典的な衆道文化がまだ衰退しておらず、少年少女の異性愛も抑圧されていた(cf. 氏家幹人『武士道とエロス』*4)。
「宝塚がHIV感染の中心になったらどうする」 性的マイノリティ支援条例を市議が批判して物議
J-CASTニュース 6月25日(木)19時49分配信
市議会での発言が話題に
性的マイノリティへの支援条例を作れば、同性愛者が集まってHIV感染が広まってしまうと、兵庫県宝塚市議会の自民党市議が本会議で発言して、物議を醸している。レズビアンやゲイといった同性カップルについて、大阪府淀川区では、支援宣言を行い、那覇市でも2015年7月に宣言を行う予定になっている。東京都渋谷区では、結婚相当と認めてパートナー証明書を出す条例を4月に施行した。
■「児童生徒への啓発活動が同性愛を誘発する」
宝塚市でも、中川智子市長がこうした動きを受けて4月下旬に検討部会を設置し、性的マイノリティへの支援策を練っている。市では、10月をめどに基本方針を策定する考えだ。
15年6月24日の市議会本会議では、自民党の大河内茂太議員(44)が一般質問で、条例が制定されれば懸念が出てくると指摘した。報道によると、大河内氏は、HIV感染の7割が同性間の性的接触とする東京都の調査結果についての新聞記事を示し、特に男性間で感染が広がっているとして、次のように発言した。
「条例ができた場合、『宝塚に同性愛者が集まり、HIV感染の中心になったらどうするのか』という議論も市民から起こる」
さらに、大河内氏は、「女子校や男子校などでは同性カップルが多い。環境によって後天的に同性愛者になる。学校での児童生徒への啓発活動が同性愛を誘発する可能性を否定できない」とも述べた。
これに対し、民主党の北野聡子議員(62)が、大河内氏の発言を「不適切」だとして、その取り消しを求めて審議が紛糾した。議会では、いったん休憩して取扱いについて協議した結果、議事が約30分間中断することになった。発言については、26日の議会運営委員会で適正であったかを判断する予定だ。
大河内氏の発言について、ネット上では、様々な意見が出ている。
自民市議は、「差別の意図はない」と説明
発言に理解を示す声もあり、「最悪の事態想定するのは間違ったことじゃない」「何が不適切なんだ?」「叩かれる意味が分からん」といった声が出た。一方で、「古い認識から抜け出せない人」「マイノリティへの理解がない」という批判は多く、不特定多数との接触ではなく特定のパートナー作りを進める支援策ならむしろHIVは広がらないのでは、といった指摘もあった。
支援策を練っている宝塚市の人権男女共同参画課では、取材に対し、大河内茂太議員の発言について次のように答えた。
「人権の担当者としては、偏見や差別のない社会を目指す立場から、不適切な言葉だと思っています。たとえ条例を制定したからと言って、同性愛者がどんどん集まるとは、一概には言えないでしょう。同性愛者が増えれば、HIV感染者も増えるともならないはずで、間違った解釈だと思います」
発言の取り消しを求めた北野聡子議員も、神戸新聞の取材に対し、「同性愛者への差別や偏見を助長する」と発言を批判していた。
これに対し、大河内氏は、「差別の意図はない。支援の必要性は認めている。人権は大切だが全体の利益の中でのバランスが必要だ」と説明したとしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150625-00000009-jct-soci
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gudachan*5「LGBTめぐる不適切発言で炎上の大河内茂太市議「英霊を被告にして委員会」メンバーだったことが判明」http://matome.naver.jp/odai/2143522627384812601
*1:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150213/1423753689 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150216/1424054748 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150220/1424402908 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150228/1425147229 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150306/1425663341 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150314/1426355148 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150319/1426741820 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150327/1427420838 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150402/1427941177
*3:実際に妹がいるかどうかはわからない。まあ姉貴でもいいのだけれど。
*4:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110218/1298052067
*5:http://gudachan.hatenablog.com/ See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140905/1409882582 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140922/1411391113 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150301/1425180108 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150304/1425405508