Richard von Weizsäcker

リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー元独逸大統領*1他界。今年は第二次大戦終結70周年なので、あの『荒れ野の40年』演説から既に30年になるのか。70周年に際して、某国の政治家がどのような演説をするのか、期待よりも不安を抱いている人も多いわけだけれど*2
『毎日』の記事;


訃報:ワイツゼッカー統一ドイツ初代大統領=94歳

毎日新聞 2015年01月31日 20時54分(最終更新 02月01日 12時50分)


 ◇「過去に目を閉ざす者は、現在も見えなくなる」

 【ベルリン篠田航一】ドイツ元大統領のリヒャルト・フォン・ワイツゼッカー氏が1月31日、死去した。94歳だった。第二次世界大戦終結から40周年の1985年5月8日、連邦議会の演説で「過去に目を閉ざす者は、現在も見えなくなる」と、歴史を直視する重要性を説き、国内外に大きな反響を呼んだ。

 20年、独南部シュツットガルト生まれ。ゲッティンゲン大学などで法学や歴史学を専攻。39年9月のポーランド侵攻に従軍し、同じ連隊にいた兄を失った。

 戦後、化学会社経営、キリスト教体幹部などを経て69年にキリスト教民主同盟連邦議会議員に初当選。その後、81年に西ベルリン市長、84年に西独大統領。東欧諸国との和解や東西ドイツ統一に貢献し、90〜94年に統一ドイツの初代大統領を務めた。

 2009年1月、シュミット元西独首相らと共に、オバマ米大統領の「核兵器のない世界」に賛同する共同論文を独紙に執筆するなど、大統領退任後も精力的に活動した。

          ◇

 ワイツゼッカー元大統領が1985年5月8日、ドイツの終戦40年の記念日に独連邦議会で行った演説の要旨は次の通り。

 私たちは、この日に向き合う必要がある。自分たちの基準を自ら見つけなければならない。美化し一方的になるのではなく、事実をありのままに見る必要がある。この日は人々の苦難を思い出す日であり、正直に向き合うほど私たちはより解放され、その結果に責任を持つようになる。

 この日はドイツにとってお祝いの日ではない。多くのドイツ人は祖国のため戦うのをよしとした。だがそれは犯罪的な政権の非人間的な目的に寄与するものだった。この日はドイツの間違った歴史の終わりの日だ。

 この日は記憶の日でもある。記憶とはそれが自分の内部の一部となるように正直に、純粋に思い出すことだ。私たちは、独裁政権によって殺されたすべての人、特に強制収容所で殺された600万人のユダヤ人を記憶する。

 命を失ったドイツ国民や兵士、祖国を追われたドイツ人を記憶する。ロマ民族や同性愛者、宗教・政治上の理由で殺された人を記憶する。死者の苦しみや、傷つき、強制的に断種され、逃走し、空襲の夜を過ごした苦しみを記憶する。
http://mainichi.jp/select/news/20150201k0000m030052000c.html

See also


“German ex-President Richard von Weizsaecker dies at 94” http://www.bbc.com/news/world-europe-31073517
Geir Moulson “Former German president Richard von Weizsaecker dies at 94” http://metronews.ca/news/world/1276190/former-german-president-richard-von-weizsaecker-dies-at-94/
Sabine Siebold “Germany's von Weizsaecker, president at unification, dies at 94” http://uk.reuters.com/article/2015/01/31/uk-germany-weizsaecker-idUKKBN0L40F720150131


そういえば、中日新聞社編『ヴァイツゼッカー日本講演録 歴史に目を閉ざすな』(岩波書店、1996)を買っていたのだった*3