落とし話

承前*1

『読売』の記事;


外れ馬券、行政訴訟でも経費と判断…大阪地裁
2014年10月02日 21時00分


 競馬の配当に課税する際、外れ馬券の購入費を必要経費と認めるかどうかが争われた行政訴訟の判決で、大阪地裁は2日、外れ分を含む馬券の購入全額が経費になると判断した。

 田中健治裁判長は、課税処分の取り消しを求めた男性(41)の訴えを認め、大阪国税局が当たり分だけを経費とした約8億1000万円の課税処分を違法として大半を取り消し、課税額を約6600万円に大幅減額した。男性が所得税法違反(無申告)に問われた刑事裁判の1、2審判決も外れ分を経費と認めていた。

 この日の判決は、男性が予想ソフトなどを使って、日本中央競馬会(JRA)の9〜6割のレースで毎週数百万円単位の馬券を自動的に購入していたと指摘。

 「多数のレースで網羅的に馬券を購入して当たり外れの偶然性を抑え、恒常的に所得を生じさせており、一時所得とはいえない」とし、営利目的の継続的行為から生じた「雑所得」で、外れ馬券も配当を得るための経費と結論付けた。

 判決によると、男性は大阪府在住で、会社員だった2005〜09年、計約35億1000万円分の馬券を購入し、計約36億6000万円の配当を得たが、申告しなかった。大阪国税局は当たり馬券の購入費計約1億8000万円を経費として控除し、利益の4倍を超える所得税約6億8000万円と無申告加算税約1億3000万円を課税した。

 刑事裁判の大阪地裁、大阪高裁両判決は懲役2月、執行猶予2年(求刑・懲役1年)の有罪としたが、外れ馬券を経費と認めており、検察側が上告している。同様の行政訴訟は東京、横浜両地裁でも係争中。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20141002-OYT1T50099.html

判決に謂う「 多数のレースで網羅的に馬券を購入して当たり外れの偶然性を抑え」云々というのは投資ファンドが株式や債券に投資する際のリスク・ヘッジの仕方と基本的に同じ発想ですよね(Cf. 小島寛之*2『サイバー経済学』)。
サイバー経済学 (集英社新書)

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さて、以前引用した『毎日新聞』の記事によると、2102年の段階でJRAの馬券の売上げの半分以上はネット購入が占めているのだ*3。つまり、「競馬」が行われているのはパドックでもなければ〈場外〉でもなくネット空間なのだ。まあ勿論お馬さんがサイバースペースを走ることはあり得ないわけだが。寺山修司*4が生きていたらどんなふうにコメントしただろうね。