精神分析的問題

承前*1

高市早苗稲田朋美の「ネオナチ」ツーショット問題に関して英語圏の報道を追加的にリスト・アップ;


AFP “Japan PM's new picks deny neo-Nazi links” http://news.yahoo.com/japan-pms-picks-deny-neo-nazi-links-064127462.html
Umberto Bacchi “Japanese Minister Sanae Takaichi in Neo-Nazi Photo Controversy” http://news.yahoo.com/japanese-minister-sanae-takaichi-neo-nazi-photo-controversy-153650767.html http://www.ibtimes.co.uk/japanese-minister-sanae-takaichi-neo-nazi-photo-controversy-1464562
Richard Lloyd Parry “Japan’s sex equality advance backfires” http://www.thetimes.co.uk/tto/news/world/asia/article4200452.ece


これらの記事では、稲田朋美よりも高市早苗の方が前面化されている。これは公職(国務大臣)と私職(自民党政調会長)の差に対応するといえるだろう。Timesの記事は無料では冒頭部分しか読めないし、タイトルも具体性を欠く。しかしながら、Timesの記事の存在は大きいといえる。『ガーディアン』だけだと、左翼の陰謀だのという愚民の妄想に火を点けることにもなりかねない。左翼の『ガーディアン』と並ぶ右翼系の高級紙『タイムズ』が報じたことによって、これが左翼か右翼かというのとはちょっと違う次元の問題だということがより容易に理解されるのではないか。
さて、海外での報道という〈外圧〉によって、日本のメディアもやっとこの「ネオナチ」ツーショット問題を報じるようになったのだと*2
『ガーディアン』の記事*3を紹介した人が「ガーディアンさん、違っていますよ。安倍にとっての頭痛の種ではなく、高市らは安倍の思いの具現化ですよ」とコメントしている*4。それに対して、古寺多見氏は「何より、「国家社会主義」とは、安倍晋三の敬愛する母方の祖父・岸信介の思想信条だったのだから」と答えている。岸が「国家社会主義者」だったことは例えば小林英夫『満州自民党』を参照のこと*5。「頭痛の種」なのか「思いの具現化」なのかということだが、これはどちらも正解だろう。精神分析的問題。人は誰でも或る程度は〈外向きの自己〉と〈内向きの自己〉の分裂を抱えているわけだ。〈外向きの自己〉にとっては「頭痛の種」、〈内向きの自己〉にとっては「思いの具現化」ということになる。まあ岸田秀の『ものぐさ精神分析』でもマークしておきましょうか。あまりマジに読まないでね。

満州と自民党 (新潮新書)

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ものぐさ精神分析 (中公文庫)

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続 ものぐさ精神分析 (中公文庫)

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