http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140628/1403937327に対して、
雑賀恵子*1『快楽の効用』によると、近代日本において「砂糖の国内自給」は大きな課題の一つであり、「自給」が達成されたのは1930年代のことだった。但し、生産の大部分は「植民地である台湾」で行われていた。しかし、戦争による「一般貨物輸送」の杜絶のため、1943年から1947年までは砂糖の配給が全く停止してしまった。さらに、敗戦によって植民地の台湾だけでなく沖縄も失ってしまい、日本国内での砂糖の生産は需要の5%くらいしか充たせなくなってしまった。つまり、私たちの「親の世代の人」は青年時代に甘さというか砂糖に対する圧倒的な飢餓状態を経験しているのだ(pp.147-148)。また雑賀さんはこの砂糖飢餓によって、「ズルチン」*2だの「サッカリン」*3だのといった人工甘味料の使用が促進されたことも指摘している(pp.148-149)。なかでも「ズルチン」が開発されたのは1945年で、1946年に使用許可を得て、1969年に全面的に禁止された。人工甘味料には、砂糖のような糖質を補給し、血糖値を増大させるという効果がないので、純粋に甘味への欲望に応えたものだといえる。ところで、人工甘味料というと、俺には「ズルチン」と同じく1969年に禁止された「チクロ」*4の印象が強いのだが、何故か雑賀さんはスルーしている。
kojitaken コーヒー これは本当にその通り。親の世代の人はコーヒーに大量の砂糖を入れていた。昔の缶コーヒーはやたらに甘ったるいのが定番だった。一方、スタバの看板商品のラテには砂糖は入ってない。甘いのが好きなのは昔の人の方。 2014/06/29
http://b.hatena.ne.jp/kojitaken/20140629#bookmark-201761430
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「砂糖」に対する態度と「甘味」一般に対する態度は一応区別しておいた方がいいと思いますよ。他方では、キシリトール*5とかステヴィア*6といった低カロリーの非砂糖系天然甘味料が注目されているということもあるわけですから。また、長期的な視野においては、たしかに「昔の日本人の方が甘味を好んだ」といえるかも知れない。現代では、味醂を酒として飲む人は殆どいないけれど、江戸時代には酒として飲まれていた*7。
locust0138 意外なことに、日本人の砂糖消費量は年々減少している(出典:農水省http://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/kansho/pdf/23sy-3.pdf)。昔の日本人の方が甘味を好んだわけですよ。特に煮物など。 2014/06/29
http://b.hatena.ne.jp/locust0138/20140629#bookmark-201761430
*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111111/1320975116 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111112/1321066895 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111119/1321676101
*2:See eg. http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BA%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%B3
*3:See eg. http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%83%B3
*4:See eg. http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%AF%E3%83%AD
*5:See eg. http://www.jfscp.gr.jp/siryo/kisochishiki.html http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AB http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail27lite.html
*6:See eg. http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%93%E3%82%A2 http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail525lite.html